看取りケアに関しては儲けも二の次です。看取りケアの報酬は確かにあるのですが、その金額たるや本当に微々たるものです。それでも入居者のことを考えて、住み慣れた施設で最期を迎えたほうが本人のためになるという判断で実施しているわけです。そこは信頼していいと思います。
一方、看取りケアを熱心に行っていない施設の場合、症状が悪化すれば病院に救急搬送して、たいていそこで最期を迎えることになります。そのほうが万が一の事故も防げるし、施設にとってもリスクが小さいからです。看取りケアに注目することで施設のスタンスの違いが見えてきます。
このように施設選びにはいくつかのコツがあります。しかし、結局、いちばん大切なのは介護される親にとってなにがいちばんであるか、ということです。
そして、介護スタッフも決して正しい答えがわかっているわけではなく、常にギリギリのところで考えています。いずれにせよ介護には、正解のないことを、みんなで真剣に考えるというプロセスが欠かせないのです。
みなさんは、自分の家族にどういう最期を過ごしてほしいですか?
ぜひ一度、真剣に考えてみてください。
1980年生まれ。上智大学文学部社会福祉学科卒業。老人ホーム紹介事業、外資系コンサル会社、在宅・施設介護職員を経て、2008年に市民団体「となりのかいご」設立。2014年に「となりのかいご」をNPO法人化、代表理事に就任。ミッションは「家族を大切に思い一生懸命介護するからこそ虐待してしまうプロセスを断ち切る」こと。年間講演回数は40回、個別相談数は80件を超え、顧問先は現在6社。「NHKラジオ深夜便」、「ワイドスクランブル」(テレ朝)、「教訓のススメ」(フジテレビ)などに介護の専門家として出演実績あり。誰もが自然に家族の介護に向かうことができる社会の実現を目指し日々奮闘中。