「実際に事業を始めるとなっても戸惑うことは全くなかったです。『正しい数字を見て判断すること』、『ファイナンスを常に頭に置いて事業計画を考えること』、そこさえ間違わなければ大丈夫だと。また、経済の動向から世の中の動きを見るように安達先生から指導を受けてます。たとえば、うちのお店のとんかつは安くなくて、『そんな値段で誰が食べるんだ?』って僕も最初は思ったのですが、今の日銀の金融政策を見ていれば物の値段が上がるのは当然(国の政策がインフレに向かっている)だと安達先生に指導され、強気の価格設定にしました。実際、これがよく売れるんですよ(笑)。今の世の中は良いものであれば売れるんですね」

プロ野球選手の
セカンドキャリア観にも変化の兆し

 多方面に事業を拡大している小野だが、根底に強くあるのは野球に対する思いだという。現在は小学生を対象とした野球塾(「PRIMAVERA LIONE(プリマヴェーラ・リオーネ)」)、中学生を対象とした硬式野球チーム「狭山西武ボーイズ」を立ち上げ、多くの小中学生の指導も行っている。また、プロ野球経験者の引退後のセカンドキャリアにも大きな可能性を感じているという。

「プロ野球選手は野球しかできない野球バカだとよく言われますけど、決してそんなことはないと思います。きちんとしたところで野球をしてきた人間であれば上下関係、礼儀、体力は高い次元で必ず身についています。そういうベースができていれば、ビジネスのテクニカルな部分は後からいくらでも教えることができると思うんです。実際にうちの会社にも元プロ野球選手が何人もいますが、野球のコーチだけでなく他の事業でも活躍してくれています」

 NPBが毎年若手選手に行っているセカンドキャリアについてのアンケートの2017年版(PDF)によると、引退後の生活に不安を感じていると回答した選手は全体の64%に上っている。その一方で引退後の希望進路を見てみると上位は「指導者などの野球関係」の仕事が占めているが、調査の始まった2011年から2014年まで7位以下であった「一般企業の会社員」が意外なことに2位にランクインしている。若手とはいえプロ野球選手のセカンドキャリアに対する考え方も少しずつ変わってきているのかもしれない。