「ジャンクスリープ」が心身の発育に影響する
最近のティーンエイジャーの子育ての悩みに新たに加わったのが、テクノロジー関連の問題だ。
ティーンエイジャーが、それなりに早い時間に自分の部屋に戻ったとしても、テクノロジーの発達によって、さまざまな選択肢が持てるようになった。夜遅くまでテレビゲームをしたり、SNSにいそしんだりする。
テクノロジー機器が発するブルーライトの影響についてはすでに述べた。ブルーライトはメラトニンの分泌を抑制するため、寝つきが悪くなる可能性がある。
加えて、ゲームとSNSには依存性があることも考慮すべきだ。
ティーンエイジャーが身体のリズムの移行のせいで眠くならなくても、ゲームで悪者をやっつけて世界を救うという魅惑的な娯楽のオプションがあり、これで遊ぶことで頭が冴えてアドレナリンが分泌されるため、さらに夜ふかしになる。
そして朝、アラーム時計が鳴ったとき、テレビの電源をつけっぱなしで眠ってしまったことに気づく。これでは、学校の午前中の授業にベストの状態で出席できるわけがない。
これがイジコフスキー教授の言う「ジャンクスリープ」だ。睡眠の質も悪く、時間も不十分になる。これは、思春期の子どもの発育と学習の大きなさまたげになるだけでなく、気分や集中力、そして長期的には心身の健康状態や体重にまで影響を与える可能性がある。
「家族時間」が増えると睡眠も増える
2016年にオーストラリアで行われ、「青年期の健康ジャーナル」に掲載されたある研究に、総括としてこう書かれている。
「ビデオゲームとSNSは睡眠時間を短くし、睡眠の質を低下させるリスク要因だ。一方で、家族と過ごす時間は睡眠時間の保護に役立つ」
とはいえ、子どもに「電子機器のスイッチを切って、もっと家族との時間を過ごしなさい」と言えば終わりというシンプルな話ではない。
子どもはさまざまだ。そのように言えばアドバイスを聞き入れて学習と発育に与えるダメージを意識する子もいれば、親からのありがたいアドバイスなんて聞く耳を持たないという子もいる。
保護者は、子どもの就寝前のテクノロジーの使用を管理する方法を探すべきだ。
たとえば「ゲームで遊ぶ時間を決める」「テクノロジーを寝室に持ち込むのを禁止する」など。もっとも、ティーンエイジャーからスマートフォンを取り上げるのはハードルが高い提案だ。あなたの幸運を祈る。
思春期には、平日の睡眠が不足しがちだ。原因としては「ホルモンによって身体のリズムが変わること」「夜の社交イベントとテクノロジーの使用が増えること」「学校の始業が早いこと」 が挙げられる。
では、ティーンエイジャーを、平日の朝にもっと遅くまで寝させてあげることができたら、どうなるだろうか?
ティーンエイジャーが通う学校や大学の始業時間を午前10時にすれば、保護者や教師よりも学生のニーズに合った時間割が提供できるだろう。
午前9時からの授業や試験をやめれば、体内時計にそぐわない時間帯に活動させなくてよくなる。睡眠不足の解消にもつながるだろう。
<(本原稿は『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』より抜粋して掲載しています)