リオのカーニバルやハワイに学ぶ
上手な外国人観光客の受け入れ方

 そういう意味では、先ほどの5つの祭りは外国人観光客が楽しむにはハードルが高い。近年、日本で暮らしている外国人の方などが神輿の担ぎ手として受け入れられる傾向はあるが、とても観光客が気軽に入れるような代物ではないからだ。

 こういう国内環境のなか、それでも日本の伝統的なものを体験したい、という人がどこへ向かうかといえば、「狐の行列」のような「敷居の低いイベント」しかないのは明らかだ。

 なんてことを言うと、「祭りとか伝統ってのは地域の人のためのものなんだから、観光客は文句言わずにそれを外から見物してりゃいいんだよ」という人もいるかもしれないが、世界を見渡せば、そういう考えの方が少数派だ。

 たとえば、先月おこなわれたブラジル・リオデジャネイロのサンバカーニバルは、世界中から150万人もの観光客が訪れる祭りだが、「主役」はあくまでリオっ子たちだ。若い女性はサンバのために1年間用意をしたり、ダイエットをするというくらいの力の入れようだ。

 では、「俺らが主役なんだから外国人は引っ込んでろ」という文化かというと、そうではなく、地域のサンバチームに申し込んでまじめに練習に取り組めば、外国人であっても参加できる。また、観光客用の出場枠もあって、それなりに高い参加費を払えば、衣装を着て踊ることができる。筆者ももう15年くらい昔になるが、いろいろな国からの観光客に混じってパレードに参加したことがある。

 つまり、地域住民という「主役」が楽しむため、観光客という「脇役」を迎え入れて、彼らが落とす金を、その祭りや伝統を盛り上げるためのエンジンとして活用しているのだ。

「観光神輿」をつくって、観光客にも担がせてやれ、などと無茶なことを言っているわけではない。たとえば、ハワイのフラダンスはもともと先住民の神聖儀式だが、ワイキキビーチなどでは観光客用のショーが開催されている。日本でも外国人が気軽に参加できる、「伝統的なイベント」を新たにつくればいいのである。

 いずれにせよ単なる商店街イベントに5000人もの外国人が訪れていることからも、日本の観光戦略がズレていることだけは間違いないだろう。

 政府や観光業者の方たちはぜひこのミスマッチを正し、王子商店街のみなさんの苦悩を解消してもらいたい。