「ものづくり教室」で
ロボットやプログラミングを学ぶ

中嶋:どんなことに熱中しているのですか?

長谷川:例えば、ひたすら昆虫図鑑を見て昆虫の名前を全部覚える。ゲームが大好き。見た景色を忘れない。パソコンを分解している。バッハが好き。絶対音感があるなどです。何か一つのことに異常なまでにはまっているという子にたくさん出会いました。この「好きなものに異常にエネルギーを発揮できる」という個性、これは才能ですから、それを社会の活躍につなげるようなものをつくりたいと思い、立ち上げたのが「LITALICOワンダー」という名の、テクノロジーを使用した「ものづくりの教室」です。

中嶋:多様な興味関心をそれぞれのお子さんが見せる中で、ロボットやプログラミングを選んだのはなぜでしょう?

長谷川:それは、テクノロジー方面に興味を示すお子さんの割合が高かったからです。また、子どもが将来、社会で活躍できるような付加価値の高い学びにしたかった、ということもあります。そう考えると、ロボットやプログラミングの領域というのは、ユニークな子どもの能力と社会で求められる能力を結びつける上で、相性が良いと考えました。すでに結果も出始めています。

学校教育のような「読み」「書き」「五教科」といったような科目で区切るのではなく、好きなことを学び、そこで子どもが自信をつけて元気になって、社会で活躍できる。このような新しい学びの場が広がれば、非常に個性の強い子でも社会で活躍できるようになります。精神疾患を発症するのとは、大きな違いになるはずです。

中嶋:ロボットやプログラミングの次は、どのような学びの場を考えているのでしょうか?

長谷川:ロボットでは代替できない芸術系がおもしろいのではないかと考えています。私は代替できるものは、どんどんロボットやAIに代替されていいと考えています。その後に残るもの、人間にしかない創造性や感じる力、つまり「感力」を育てるということが大切になってくると思うのです。体力、知力、感力があるとすると、体力も知力も共に、ロボットには、現状かなわない部分も出てきています。一人一人の感力をどう育てていくか。ですから次の教育の柱は、芸術になるのではないでしょうか。

中嶋:ロボットもプログラミングも、形が決まっていない中で、自由度の大きな分野です。子どもが自由に発想し、創造できるという意味では、芸術に通じる部分があると感じます。

(続く)