コインチェックのビジネスモデルは2本柱で成り立っている。

 一つは、利用者同士が売買する場を提供する「取引所」事業。こちらは取引量の約8割を占めるが、手数料は取っていないという。

 もう一つは、コインチェックが自ら仮想通貨を仕入れ、利用者に売るという「販売所」事業だ。そして、この残り約2割の取引量を占める事業で得てきた利ざや(スプレッド)こそが、ベンチャー企業にして巨額資金の蓄積を可能にした“魔法の杖”だったのだ。

 利用者の取引ニーズをつかみ、超高収益な事業をスピーディーに立ち上げたコインチェック経営陣のビジネスセンスは確かだったかもしれない。ただ、そのビジネスは利用者保護との“二人三脚”が必須であることを見落とした点は決定的な過ちを犯したと言わざるを得ないだろう。

 金融庁はこれまで、仮想通貨を含むフィンテック(金融とテクノロジーの融合)に関して、利用者保護と産業育成のバランスを取りながら行政方針を考える必要があると指摘していた。そして、コインチェック事件を受けても「一方的に規制強化をする方針に転換したわけではない」(金融庁)と語っている。

 しかし、過度な“振れ幅”は避けるべきだが、利用者保護の観点から現実にここまで問題が起きている以上、「バランス」の再検討は必要だろう。実際に一連の問題噴出を受けて、仮想通貨交換業者の登録審査は厳格化。それを受けて、今回業務停止命令を受けたビットステーションと、ビットエクスプレス、来夢のみなし業者3社は、登録申請を取り下げることを金融庁に申し出たという。

 仮想通貨業界を襲った「3.8ショック」。しかし、それは業界“浄化”の号砲に過ぎない。本当に価値ある新たな産業を「創造」するためには避けて通れない「破壊」が、これから本格化していくはずだ。