文大統領が北朝鮮に対し「融和的」であると非難する声も日本、韓国の右派から出るが、もし米国が北朝鮮を攻撃し戦争になれば、韓国と北朝鮮は共に存亡に関わる程の被害を受ける。南北双方の指導者が戦争を回避するため必死の努力をしたのは当然だ。

 もし戦争になれば日本も巻き込まれ、数百万人の犠牲者が出る可能性が高かったから、文大統領を非難するより、むしろ感謝すべきだろう。

北の核放棄は期待できず
実戦配備「凍結」は米には成果

 もちろん今回の緊張緩和は当面のものだ。米朝首脳会談がトランプ大統領の希望どおり5月までに行われても、北朝鮮の非核化が実現する可能性は極めて低い。

 冷戦終了後間もない1990年、当時のソ連は韓国を承認して国交を樹立、92年に中国もそれに続いたため、北朝鮮は2大スポンサーにほとんど見放されて孤立、衰弱し、それ以後ロシア、中国からの武器入手もできないでいる。

 このため北朝鮮は本格的な核兵器と弾道ミサイルの開発を始め、それには一応成功した。GDPが韓国の約50分の1で、兵器もほとんどが老朽化した北朝鮮にとって、ほぼ核だけが頼りだ。北朝鮮が容易に核を放棄することは期待できない。

 ただ、北朝鮮が、今後、米国本土に届くようなICBMの試射や核実験を行わず、実戦配備をしないことで「凍結」をすれば、トランプ大統領は自国民に対し「私が北朝鮮の核の米国への脅威を防いだ」と成果を誇れる。

 北朝鮮はその見返りに、1953年の朝鮮戦争の停戦協定を平和協定にし、すでに国連には韓国と別の国家として1991年に同時加盟している北朝鮮を、国家として承認し、国交を樹立することを求めることになりそうだ。