言葉の単位で「見て理解」するコツ

 もし読むスピードが上がらないようでしたら、文章を7文字単位で切り出して「見て理解」することに集中してください。なぞり読みから「見て理解」に切り替えるだけでも、読むスピードは確実に上がります。

「見て理解」に切り替えただけで、人によっては2倍のスピードで読めることもあるほどです。まずはそこからスタートするだけでも、十分に速く読むことができます。

 言葉の単位で「見て理解」をするとき、慣れないうちは漢字で始まる言葉と接続詞、文末の言葉だけに注目して、それらの言葉の間に書かれている助詞的な言葉には意識を向けないようにすると、取り組みやすくなるでしょう。

 たとえば、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の一節に次のような文章があります。

「それでは、野球部にとっての顧客とは一体誰なのか? それでも、球場に見に来るお客さんがそうなのか?
 しかしそれは、やっぱり違うような気がした。野球部の定義が『野球をすること』ではないように、野球部の顧客が『試合を見に来るお客さん』というのも、やっぱり正しくないような気がしたのだ」

 これを漢字で始まる言葉と接続詞、文末の言葉だけ見てみると、次のような感じになります。

「それでは 野球部 顧客 誰なのか? それでも 球場 見に 来る 客 なのか?
しかし 違う 気がした。 野球部 定義 野球 ではない 野球部 顧客 試合 見に 来る 客 やっぱり 正しくない 気がした」

 実際の文章でやるときは、単語と単語の間にある文字上も目線が動くことになるので、ここまで文章を切るような感じにはならないのですが、文章を黙読せずに単語を見て、頭の中で音声化しないように読み進めても、文章で伝えようとしているイメージを思い浮かべることはできるのです。

 仮に、部分的にイメージを思い浮かべることができなかったとしても、速く読んだら、後で再度思い出す時間もできますし、「ということは?」と深く考える時間も確保できますので、いずれにしても読むときはスピード重視を心がけましょう。

デジタルツールを活用した方法

 電子書籍を使って「見て理解」する感覚を身につけるのもいい手段です。

 特にSNSに上がっている記事は、「読む」というよりは「見て理解」に近い感覚で読まれていることが多いので、それと同じ感覚で電子書籍の文章を「見て理解」していくのです。

 ただ、ある程度慣れてきたら紙の本に移行するようにしてください。

 これまでに私が指導してきた人にも、電子書籍だと読むスピードが速いけれど、紙の本になると、そのスピードが落ちてしまう人が結構いました。

 見開きサイズの違い、フォントサイズが変更できないなど、原因はさまざまあると思いますが、やはり原因の多くは、紙の本=国語(勉強)というイメージが反射的に働いてしまって、なぞり読む読み方に戻ってしまうことにあります。

 しかし紙の本でも、やること自体は、SNSや電子書籍を速く「見て理解」するのと同じです。

 メニュー表を読まずに見て理解できる人であれば、すでにできることを紙の本でもやるだけなので、もし紙の本で実践したときに「遅い」と感じたら、ネットや電子書籍で「見て理解」する感覚を取り戻し、再度トライしてみるようにしてください。

■参考文献
「速く読んで覚えられる最強の読書術」