2月27日、半導体大手で、わが国唯一のDRAM専業メーカーであるエルピーダメモリが会社更生法の適用を申請し、ついに倒産した。家電メーカーの相次ぐ巨額な赤字に続いて、エルピーダの倒産は、エレクトロニクス王国・日本が土壇場に追いつめられていることを、再び強く印象付けた。半導体のもう一つの分野であるシステムLSIも、予断を許さない。そこでここではエルピーダ後の課題であるシステムLSIを中心にして、半導体産業再生のための「最終」政策を提示したい。(半導体産業アナリスト 川上拓)
エルピーダ倒産に先立つ2月8~9日、日本経済新聞、朝日新聞などがシステムLSIをめぐる半導体大手の再編案を報じた。その概要は次のようなものだ。
パナソニック、ルネサスエレクトロニクス、富士通3社はシステムLSI(大規模集積回路)事業を切り出し、産業革新機構が出資して半導体設計の専門会社を設立する。一方、生産部門は、設計部門と切り離し、米半導体受託製造専業であるグローバルファウンドリーズ(GF)と革新機構が日本に設立する新会社に移管する。製造側の新会社はルネサスからルネサス山形(山形県鶴岡市)を、富士通から三重工場(三重県桑名市)、さらに、エルピーダメモリから広島工場(広島県東広島市)を買い取る。これによって、日本の主要半導体メーカーを設計と製造部門に集約する。
実は、この案にはエルピーダの広島工場買い取りによって、同社への資金繰りを支援しようという意図が隠されていた。
日本半導体産業の
最終的な見取り図
システムLSI分野については、まだ何もまとまってないどころか、ほかの道も模索されているというのが実態である。その点では、今まさに岐路に立っている。そこでまず結論として、半導体をめぐる産業再生の着地点=あるべき姿を大胆に提示しておくことからはじめたい。
半導体は、品種別に、個別半導体素子と集積回路(IC)に大別され、ICはさらにアナログ/センサー類、メモリ、マイクロ類、「他のロジック」に4つに分類される。このうち「個別半導体素子」と「アナログ/センサー類」では、多様な会社・工場で収益を挙げるかたちが、まだ当分可能である。