「わかってない」、3つのレベル

 筆者はいくつかの自治体担当者や関係者から話を聞く中で、前述した悲劇に至る過程には大きく3つのレベルの「わかってない」があることに気づいた。

 1つ目は、その自治体にとって本当に必要な手法を「わかってない」場合。地方創生予算の使い途として「シティ・プロモーション」「エリア・マーケティング」などの触れ込みで、委託事業者を募集している自治体が陥りがちな泥沼のことだ。

「○○県のようにPRしたい」「もっとネットで話題にされたい」、そんな手法ありきの発想で事業者が選定され予算が使われていくことで、冒頭に述べたような悲劇が生まれていく。本来その自治体に必要なのが「ネットで話題になること」「なんとなくよさそうなキャッチコピーで語られること」などではなかったことに気づいたときには、もう遅いというのに。

 そんな「手法」ありきの発想にたどり着く原因となるのが、2つ目の「対象が誰なのかわかってない」ことだ。

「移住者を獲得しなくてはいけないのに知名度が低い、だからウェブでプロモーションしよう」「地域の特産品を流通させたい、だから首都圏でイベントをしよう」……。これらは「地方創生」の名のもとに展開される施策として非常によく見られる流れだが、致命的なのはそこに「対象」がいないこと。

「移住者」はどこにいる誰なのか、彼らが本当に求めるものは何なのか。「特産品」が首都圏で流通するために必要なのは何なのか。そもそも首都圏のどこで流通したら成功と言えるのか。それを決めるのは誰なのか。指標が正しく設定されていないのに施策だけが実行されても、そもそも成功かどうかの判断もできないだろう。

 そして3つ目は、自分の自治体が置かれている「フェーズをわかってない」ことだ。