普及のためには
スター選手の登場が必須

 馬場氏によれば、アメリカの大学の45校以上にeスポーツの選手を育成するための学部や学科、コースがあり、中国でも同様に17大学、韓国にも3大学あるという。

 日本では15年4月、馬場氏も講師を務める東京アニメ・声優専門学校にeスポーツ学科が設立されたが、まだ大学では1校も扱われていない。

 日本が世界的なeスポーツの流れに乗っていくためには、諸外国のように一流選手を育て上げる環境整備が重要になると、馬場氏は指摘する。

「コミュニティ中心で成長してきた負の側面でもあるのですが、日本では他のスポーツでは必ず存在するコーチが揃っていないため、いまだにゲームをやり続けるだけの根性論に基づくトレーニングが多い。しかし、アメリカなどでは、ゲームのプレイを教える人だけでなく、スポーツ科学や医学・心理・情報学の知識、知見を持った専門家がしっかりとサポートしてプレイヤーを育てているんです」

 海外がeスポーツ教育に熱心なのは、eスポーツビジネスやIT産業の振興だけが理由ではない。ゲームが娯楽、遊びということ以上にIT文化の一種と捉えられており、ゲームのスキルを上げるのは、プログラミングなどのリテラシー向上と結びついている側面も大きいといわれている。

 また、ほかのスポーツと同じように、スター選手が誕生すれば、社会の注目を集め、普及につながっていくはずだ。そのためには、日本でも欧米のやり方を学び、優秀なスタープレイヤーを育てられるカリキュラムを整備した教育が必要になる。

 元ゲームプレイヤーだけでなく、スポーツに関連した知識を持っている人材をうまく組み合わせていけば、日本でもそのような環境を整えるのは十分可能だと語る馬場氏。

 eスポーツ界に、野球の大谷翔平のように日本から世界へ飛躍する若いスター選手が現れるのを待ちたい。