筆者は、必ずしもそうではないと考える。例えば株式投資なら、自動的に株数が調整されるわけだから、相場が下落していく局面において、高値で一度に買ってしまうことに比べれば、取得株の平均コストが下がるのは確かだ。確かに毎月1万円ずつ1年間買い続けるほうが、初めに12万円分の株式を一括で買うよりもリスクは少ないと言っていいだろう。したがって、一見すると有利な投資方法のように見える。

必ずしもリスクが
低下するわけではない

 しかしながらよく考えてみると、分けて買う方がリスクは少なくなるのは当然だ。なぜなら、最終的な投資金額は同じでも、そのお金をリスクにさらしている時間が異なるからだ。リスク総量というのは「金額×時間」だから、リスクを考える上で時間というのは重要な概念だ。

 分かりやすく言えば、保有期間1年と1ヵ月とを比べた場合、1年間持っている方が、不測の事態によって株価が下落し、損失が発生してしまう可能性は高くなるということだ。

 毎月1万円ずつ1年間にわたって積み立て投資をする場合、最初の1万円は12ヵ月保有するが、最後の1万円は1ヵ月しか保有しない。12万円を一度に買って1年間持ち続ける場合に比べるとリスク量が小さくなるのは当然と言えよう。

 一般的に、投資成果を評価する際、単純にどれだけ儲かったかで比較してもあまり意味はない。高いリスクを負った方が、高いリターンを得られる可能性(あくまでも可能性だ)が高いのは当然だからだ。

 ひと頃話題になった「ブラック・スワン」(ナシーム・ニコラス・タレブ著)の中で、「S&P500(アメリカの代表的な株価指数)が、過去50年間に上昇した幅の約半分は、10日間で起こっている」という記述がある。

 要するに暴落や暴騰が起きた場合、「そこに自分が居合わせたかどうか」が重要であり、「長期に保有し続ける」というリスクを負うことによって、リターンが得られるという好例だろう。もちろん逆の場合もあることは言うまでもない。

 一括投資とドルコスト平均法の比較で言えば、これは単純に購入のプロセスが異なるだけであり、買い付けが終わるまでのリスク・リターンには違いがあるものの、いったん保有した後で言えば、同じ投資対象に投資しているのだから同じであるのは当然だ。