ただ、その際に重要なことは、日本的経営の本質とも言える「会社は従業員の共同体」という価値観を捨て、「会社が株主の金儲けの道具」だと決意する必要があるということだ。

 経営者が自ら株式を持てば、従業員の利益よりも株主の利益を優先するようになる。むしろ、経営者にそう考えてほしいから、経営者に株を持ってもらうのだということを会社としてしっかり認識する必要がある。

 会社が、株主の利益を優先するということは、会社が儲かったときに賃上げをせず、配当をするということだが、それにとどまらない。ハイリスクハイリターンなことをするようになりかねないということもあるのだ。

過度なリスクテイクの
インセンティブになりかねない

 具体的に考えてみよう。今、ある会社のバランスシートが下表1の状態だったとする。社債の金利を受け取り、銀行に金利を支払い、従業員に給料を支払い、残りは配当する。保有している社債の格付けが高いので、受取金利はたいした金額にならず、株主への配当は少額だろうが、会社が倒産することもない。つまり、ローリスクローリターンだといえる。

 では、表2のような企業はどうだろうか。保有しているリスク資産は、確率5割で価値が2倍になり、確率5割で紙くずになるとする。5割の確率で価値が2倍になれば、株主は大儲けだ。銀行には、借りた90万円プラス金利を支払えばよく、従業員にも普通の給料を払えばよく、残りはすべて株主のものになるからだ。