株主の利益を過度に追求すると、従業員や日本経済の利益が不必要に害されることになりかねない。経営者への株式報酬も、こうした弊害があることを十分認識したい。といっても、問題は、株主にとっては筆者の懸念など知ったことではないということだ。株主は自分たちの利益を優先する権利があるのだから。

既存株主の権利を
“削る”との認識が重要

 余談というか、初心者向けの解説になるが、「役員や従業員に対する株式報酬は、現金を使わずに従業員に報いることができるから安上がりだ」と考える経営者がいるとすれば、それは見当違いだ。

 株式報酬を与えるために、新しく株券を印刷するとすれば、発行済株式数が増加するので、企業の利益をより多くの株主が分け合うことになり、企業の利益が増えない限り既存の株主の分け前が減ってしまう。

「株券を印刷して売れば、何もせずに金が儲かる」と考えるべきでないのと同様に、「株券を印刷して役職員に配れば、人件費が安くあがる」などと考えてはいけないのだ。

 なお、本稿は以上であるが、株主利益を追求することによる日本経済への弊害などについては、『小池代表が主張する内部留保「還元」でも日本経済にはヤバい政策』の3ページ以降も併せて御覧いただければ幸いである。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)