リップルのみが採用しているPoC方式

3 プルーフ・オブ・コンセンサス(PoC)

 最後に、リップルで採用されているプルーフ・オブ・コンセンサス、「PoC(Proof of Consensus)」を紹介します。

 これは、発行主体が認めた機関だけが取引サーバを立てることができ、かつ、合意も彼らのみで行われるという方法です。

 この方式は、「皆で仮想通貨を生み出そう」という、特にビットコインのPoWの基本理念とは到底相いれないもので、「PoC方式のリップルは仮想通貨ではない」とまで言う人もいます。

 実際に、PoCでは権限が与えられたサーバがダウンしてしまったらおしまいなわけですが、リップルの場合には2018年3月現在、約50の機関に権限を与えており、発行主体のリップルが仮に倒産しても、仮想通貨としてのリップル(単位は「XRP」)の流動性は維持されるようになっています。

 PoW、PoS、PoIの場合には発行主体がありませんので、時に開発者グループやマイナーたちの意向に左右されることがあります。

 そして、意見が食い違い、開発者グループの一部やマイナーが、「もう志を同じくできない」となったときには、その通貨は分岐して(これを「フォーク」と呼びます)、新しい仮想通貨が生まれることになります。

 実際に、ビットコインは2017年8月に分岐して、「ビットコインキャッシュ」という新たな仮想通貨が生まれました。その後も、「ビットコインゴールド」が生まれ、このあたりまでは知っておいたほうがいいと思います。
 しかし、その後の「ビットコインダイヤモンド」のような、「ビットコイン~」という名称の通貨は10種類以上ありますが、私はまったく意識していません。

 この「フォーク」が仮想通貨の最大の懸念であり、絶対にフォークしないリップルしか信用しない、という人もいますが、主要通貨に限れば、現時点でフォークによって元の通貨が消滅してしまったという例はありませんので、この点をもってPoCが一番優れているとは評価できないと私は思っています。

 ただし、リップルは銀行送金の手段として大いに期待され、ある意味、現在一番成功している仮想通貨ともいえますので、発行主体が有能であれば、PoCという方法は当然一つの選択肢になりえるでしょう。