実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
構想・執筆に2年。「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題を呼んでいる。ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書という。
『エフエムふくやま』でも、「ページをめくる手が止まらなかった」と紹介された大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)

ビットコインのマイニングの
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?

 第23回連載では、仮想通貨はどのようにマイニングされるのか、その結果として生成された新たなブロックがなぜチェーン状につながってブロックチェーンになるのかについて解説しました。

 実は、このマイニングは何種類かに分かれるのですが、今回は初めて誕生した仮想通貨であるビットコインのマイニングについてもう少し検証してみましょう。

 前回の解説を読んだ人はおわかりのとおり、ビットコインのブロック生成のためには「正解となるナンス」を見つけなければなりません。

 この作業に法則性はありませんので、「総当たり方式」で片っ端から「一つ前のブロックのハッシュ値+ナンス」を「ハッシュ関数」に放り込んで、「条件を満たすナンス」を探し当てる、そうした競争がマイナー(採掘者)の間で繰り広げられているわけです。

 たとえるならば、鯉(正解のナンス)が1匹だけ泳いでいて、残りは大量のフナ(はずれのナンス)が泳いでいるような釣り堀で、皆が一斉に鯉を釣り上げる競争をしているようなものです。

 そして、釣り上げる確率を上げるために、ある者は釣り竿10本で、ある者は釣り竿100本で鯉が針にかかるまで作業をしているわけです。

 要するに、竿の数が多く、また高機能なほうが有利なので、結果として高性能のコンピュータをたくさん用意してフル稼働させることになります。

 すなわち、「仕事の量に応じて」新しいブロックの発掘者を「証明(proof)」するので、こうした方法のことを「PoW(Proof of Work)」と呼びます。
 ちなみにビットコインの場合は、いち早く正解のナンスを見つけると、「新しいブロックの生成者」ということで12.5ビットコインを獲得することができます。

 そして、この12.5ビットコインが市場に放出され、私たちマイニングのできない一般人は、そのビットコインを仮想通貨取引所で購入することになります。