レベル0~レベル5の内容

◎レベル0
 AIを搭載せずに、人間がハンドル、アクセル、ブレーキのすべてを操作する。

◎レベル1
 AIを搭載し、AIがハンドル、アクセル、ブレーキのどれか1つを操作する。

 このレベル1には、前方の自動車に追従する「クルーズコントロール」や、車線をはみ出さない「レーンキープアシスト」なども含まれ、もはや多くの市販車にそうしたAIが搭載されています。

◎レベル2
 AIを搭載し、AIがハンドル、アクセル、ブレーキのどれか2つを操作する。

 このレベル2には、「前の自動車を制限速度内で追い越す」「高速道路への合流を自動で行う」という、人間でも難しい高度な動きも含まれます。
 現実を見ると、日産自動車の「プロパイロット」にはレベル2の機能が一部導入されています。

◎レベル3
 AIを搭載し、AIがハンドル、アクセル、ブレーキの3つを操作する。

「東京モーターショー2017」で、アウディが量産車として初のレベル3対応の「A8」を出展しました。
 もはや、このレベル3は「無人運転」のような気もしますが、まだまだAIでは判断不能な例外的なケースでは人間の操作が必要になります。
 しかし、レベル3になると、運転の主役が人からAIに代わることは明白です。
 こうなりますと、自動車メーカーだけの問題ではなく、法律も整備しなければなりませんし、道路や信号、横断歩道などの「情報の信頼性の担保」も必須になり、また、万が一事故が起きたときの責任の所在の明確化など、一気に課題が増えます。
 ただし、重要なのは、2018年3月現在、AIの技術はすでにこのレベル3に到達していることです。

◎レベル4
 このレベルは、「高度運転自動化システム」と呼ばれ、基本的に自動車の運転に関わるすべての操作をAIが実行します。ただし、交通事情や天候が自動運転に適しているという限定条件が付きます。

◎レベル5
 そして、レベル5になって「完全運転自動化」が実現します。また、これが俗に言う「無人運転」になります。
 レベル5では、レベル4のような限定条件はなく、どのような環境でもAIがすべての運転に関わる操作を担い、目的地まで連れて行ってくれます。
 もはや、運転免許証など無用の長物になるかもしれません。

 では、仮にAIによってレベル5の技術が実現したとします。
 それでも、そうした自動車を量産し、いたるところで無人運転の自動車が走るようになるには、法律の整備や社会インフラなど、一朝一夕にはいかないことは容易に想像がつくと思います。

 それよりも、私個人は、無人運転は「人間の命の重み」という究極の倫理観を私たちに問うことになると考えています。

 では、『これからの「正義」の話をしよう』の著者で知られる、哲学者でありハーバード大学教授であるマイケル・サンデルのあまりに有名な哲学的な問いを、AIによる無人運転に当てはめて考察してみましょう。