金融は経済の“血液”であり、銀行が日本経済にとって重要な仕事をしていることは疑いないが、それにしてもあれだけ大量に優秀な人材を囲い込むのは日本経済にとって好ましいことではない。それが「適切な人数の囲い込み」になるのだから歓迎すべきことだ。

銀行が衰退産業だとの
印象には一抹の不安も

 ただ、銀行が採用人数をしぼったことで、「銀行は衰退産業だ」との印象を学生に与えてしまうことについては、一抹の不安もある。

 既存の銀行ビジネスは、少しずつフィンテックなどに代替されていくだろうが、銀行自身がフィンテックの担い手になる可能性も十分あるし、そうでなくとも既存の銀行業務が完全に衰退してしまうわけではない。

 そうした中で、銀行志望者が急減すれば、銀行として「採用人数をしぼった以上に銀行志望の優秀な学生が減ってしまう」といったことにもなりかねない。実際には、20年後に栄えている産業や企業など誰にも分からないのだから、銀行の人気が高すぎるのも、低すぎるのも望ましいことではない。適度な人気となることを期待したいと思う。

 余談になるが、バブル崩壊前で銀行の給料が高かった頃、「銀行は、右の金を左に動かしているだけの虚業であるから、銀行員が高い給料をもらうべきではない」という批判を耳にした。今は、銀行員の給料も昔ほど高くなさそうだが、「銀行は虚業であるから、優秀な人材を囲い込むべきでない」といった批判はあるだろう。