上司はどうあるべきか、実は「論語」に書いてある

迷ったら「孔子」に聞け! 誰もが知る中国の古典「論語」は、実は部下のマネジメントに悩むリーダーにとって、揺るぎない道標となる言葉の宝庫だった。これまで2000社以上に指導を行ってきた経営アドバイザー・田口佳史氏の新刊書『超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ』の中から、ビジネスに役立つリーダーのための論語を「超訳」でわかりやすく解説する。

「信頼」だけは絶対手放すな

民(たみ)信無くんば立たず。

上に立つ者が下から信用されていて初めて、組織は機能するものである。(顔淵第十二/286)

 弟子の子貢に「国のリーダーとしての心構え」を問われて、孔子は三つのことをあげている。一つ目は、国民の生活を安定させること。二つ目は、軍備を十分に整えること。三つ目は信頼を得ることである。

 子貢はさらに、「一つ捨てるとしたら、どれ?」「もう一つ捨てるとしたら、どれ?」と重ねて尋ねている。結果、絶対に捨ててはならないものとして、孔子は「信頼を得ることだ」としている。

 これを会社に置き換えて読むと、「部下から信頼される、人望のある上司がいなければ、会社は立ち行かない」ということだ。

 近ごろは政治家が盛んに「信無くんば立たず」という言葉を使っているが、なんとも軽く聞こえてしょうがない。信頼を失うことの怖さがまったくわかっていないように思うのだ。政治家に限らず、世のリーダーたちはその怖さを知らなければいけない。