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自社の人材力を業界内で比較
タレントマネジメントは新時代へ

末岡洋子
【第172回】 2018年4月18日
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 江崎グリコのような海外市場強化に伴うWorkday導入は、このところ増えているパターンだとWells氏はいう。Wells氏は合わせて、働き方への関心の高まりも追い風になっているという。「Workdayには分析、スコアカードが組み込まれており、人事についてこれまで得られなかったような図を得ることができる。ダイバーシティからみた自社組織、スキルや役割別から見た組織と様々な角度で情報が得られるため、企業が将来に向けた計画を立てる上で役立つ」とWells氏。

 計画を進める中で、自社に不足しているスキルは何かといったことが感覚ではなく事実としてわかるというのだ。従業員にもメリットはある。「日本企業の国外進出が進んでおり、若い従業員が国外でキャリアを積みたいといった要求にも対応できる。キャリアをどのように成長させるか、キャリアパスを描きやすくなる」と説明する。

 日本市場での追い風となっている海外展開、働き方改革に加え、Wells氏は世界共通のトレンドとして「急成長に伴う人事の効率化」「業界の変化」もあげた。特に、業界の変化についてはWells氏は、「自分たちの業界が大きな変革期を迎えており、これまでとは違う方法で人材を管理する必要があると感じている」と背景を説明、その例としてあげたのが日立だ。

人事の見える化を進める日立

 日立製作所は2012年度より「グローバル人財マネジメント」として、グループ全従業員36万人の人材情報をデータベース化し、管理職以上の全ポジションに評価する統一基準をもうけている。2014年度には、組織と個人の目標を連動させ業績に結びつけることを図る「グローバルパフォーマンスマネジメント」を構築した。Workdayは日立の人事システムで重要な役割を占めるが、今回日立はWorkdayの分析サービス「Workday PRISM Analytics」を導入することにした。

 「Workday PRISM Analytics」は、Workdayが2017年秋に正式発表した最新のサービスだ。Workday以外の外部データを取り込んで、スキル、ダイバーシティなどを分析できる。Wells氏によると、日立はPRISM Analyticsの早期ユーザーとして機能を試しており、今回の正式導入は世界に先駆けるものという。

 人を重視するのはどの企業も同じだが、日立は人材を「成長の原動力」と位置づける。人事関連システムに投資することで、手続きや情報参照が簡単に行えるようになるだけでなく、従業員の経歴、語学力・資格・研修受講歴などのスキル、キャリア志向といった情報も一元管理する。従業員は自分にあうキャリア開発の支援が得られるほか、企業側もプランニング、国や事業をまたいでの人材の活用などに役立てる狙いだ。最適な人材の配置を世界ベースで行うこと、マネジメント候補の発掘と育成などにも期待を寄せているという。

 日立が進める“人事の見える化”は、グローバルでも共通の課題だ。世界の事情に詳しいStankey氏は、「マネジメントチームは人事に関連した意思決定をよりよく、より迅速にする必要がある。同時に、従業員の満足度も重要だ」と述べる。全社レベルで従業員について単一のビューを得たいというニーズがWorkday導入を後押ししているという。

 「雇用、就労、スキル強化、新しい体験と様々なタイミングで継続して従業員のデータを収集し、分析して活用していかなければならない」とStankey氏。Workdayを利用することで、企業は1年後、5年後、10年後の計画や戦略と対比しながら人についての戦略を立てることができるという。スキル強化が必要とわかったら社内でトレーニングするためのソリューション「Workday Learning」を、外部から獲得する際はリクルートの「Workyday Recruiting」を利用できる。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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