――復興に向けて6万5000人前後まで市民が戻ることを目標にしている。それには雇用や産業を整備しなければ人は戻らない。どう考えているのか。

 新しい産業については、震災以前にメガソーラーやバイオマス発電、風力発電などの事業計画を立てていた。平成23年度からスタートさせるつもりだった。これはこれから拍車をかけていく。ソフトバンクの孫正義さんも応援していただけると確約いただいている。土地所有者である市民にメリットがあるように、制度を設計していきたい。

役場を移さなくて済む対策を
ハードの強化も重要

――南相馬市が得た教訓は何か。

 震災前、7万人の全市民のうち、6万数千人が避難し、今、4万3600人近い人々が南相馬に戻って来ている。市の南はまだ警戒区域であるし、緊急時避難準備区域に指定されているにもかかわらずだ。これだけの市民が戻ることができているのは、役場を移さなかったことが奏功していると思う。広野町や川内村は、実は南相馬市よりも放射能汚染が軽い。しかし、行政機能を移したために、町がどのようになっているかわからなくなっている。災害復興の司令塔である役場を移さないということが大事だと感じだ。

 そのために、市の施設の耐震構造をしっかりやるというのはもちろん、放射能からも守れるようなハードへの対策は大事だと思っている。

 南相馬市で起きたことは世界の歴史上、なかったことだ。地震の被害も大きかったし津波、原発事故による放射能汚染、こうしたことが一度に起きた。これはある意味、財産であると思っている。関係者に聞き取りをしてきちんと記録に残し、後世に残して行きたい。