一般用医薬品(大衆薬)のインターネットを含めた通信販売を禁止した、2009年6月の改正薬事法の施行から、約3年がたつ。昨夏の閣議決定を受け、政府は今年3月末までに通販の是非をめぐる検討を始める。すでに賛成派、反対派共に水面下で動き始めており、再び、議論が紛糾する可能性が高い。
「(大衆薬の通販解禁について)どうして一歩も議論が進まないのか、まったくわからない」(蓮舫・参議院議員)
Photo by Toshiaki Usami
今年2月下旬、衆参62人の議員からなる「一般用医薬品の通信販売解禁を推進する議員連盟」の総会が行われた。
議連メンバーである蓮舫氏は、昨年3月、行政刷新会議による規制仕分けの際、行政刷新担当相としてネット販売の解禁を強く求め、厚生労働省と激論を交わした。結局、大衆薬の通販を解禁方向で見直すこととなり、昨夏の閣議決定を受けて、厚労省は今月末までに検討を始めることとなった。
2009年6月に改正薬事法が施行され、ネットを含めた大衆薬の通販が禁じられた。当時、賛成派と反対派がぶつかり合い、火花を散らしたが、今回の見直しで、再び議論が高まり始めている。
明確な根拠が見つからぬ
“ネット販売危険論”
改正薬事法が施行される前、医薬品のネット販売は、事実上、認められていた。
だが、高齢化に伴う医療費負担の増大や医師不足問題などから、病院に行かず自分で病気を治療・予防する「セルフメディケーション」の必要性が高まり、それが薬事法改正につながった。
改正により、大衆薬は副作用リスクに応じて第1~3類医薬品の三つに分類された(表参照)。また、対面販売を原則とし、第3類医薬品以外はネットを含めた通販を禁止した。
ただし、薬局・薬店のない離島居住者と法改正前に購入した医薬品の継続使用者については、第2類医薬品に限り、2年間の猶予期間を与えられた(その後、さらに2年延長)。