1.揚げる──レストランの「古い油」はおぞましい

 フライドポテトでもフライドチキンでもフライドフィッシュでも、あるいはフライド・スニッカーズバーでもかまわない、揚げ物は何でもダメージを受けた脂肪でいっぱいだ。

 揚げる過程では、酸化した脂肪と変性したタンパク質に食品を浸けることになる。揚げる際の高温は、「複素環アミン」と「多環芳香族炭化水素」を生成することで食品の毒性を強める。

 すでにご存じのとおり、揚げ物はあなたのウエストラインに悪いが、いまやこれを避けるべきもう一つの理由ができた。あなたの脳にも悪いのだ! レストランで揚げ物を食べるのはなお悪い。なぜなら同じオイルを長時間使うからだ。オイルは時間が経つにつれて悪くなっていく。

2.「べにばな油」と「ひまわり油」

 べにばな油(サフラワーオイル)は高温で熱せられてオイルを単離するが、そのためオイルの中の壊れやすい化合物が酸化してしまう。ひまわり油はべにばな油と同じ問題があるが、より酸化しやすく、煙点がもっと低い。このため、あなたが摂取するひまわり油は調理する以前に酸化している可能性が高い。これらのオイルは両方とも避けることだ。

3.「植物油」「大豆油」「コーン油」「トランス脂肪酸」

 これらの種類の脂肪を控えるべきことは先刻ご承知のはず。とても酸化しやすいという事実は、もう一つの理由にすぎない。大豆油はあなたの遺伝子に働きかけて炎症を起こし、ミトコンドリアの機能を阻害する(*9)。ラットの実験でコーン油は、ミトコンドリアの働きを抑制し、結腸がんとの関連があることがわかった(*10)。

4.バーベキュー──「焦げた肉」と「ソース」の最凶コンビ

 7月4日の独立記念日のバーベキューのあと、頭がもやもやして二日酔いになったのは、マルガリータを飲んだからだけじゃない。おいしい肉を直火であぶったとき、その脂肪が発がん性と炎症性をもつ複素環アミンと多環芳香族炭化水素に変換されたのだ。バーベキューのソースも糖類だらけだ。

 焼け焦げた肉を食べるのを控えたら、夏のあいだずっとパフォーマンスが良くなるだろう。グリル調理をするなら、まずは肉をアルミ箔で包むこと!

脳の「オン」「オフ」はいつでも自分で選択できる

 この記事の情報はあなたを怖がらせるためのものじゃない。むしろ、食物が脳に与えうる非常に大きな影響を理解してもらいたいということだ。口に入れるものすべてをコントロールするのはあなたなのだから、この知識は大きな力となる!

 つまり、どれほどの量の炎症性、毒性のある食品をミトコンドリアのえさとして与えたいか、どれほど気分が良く(悪く)なりたいかはあなたが決められるのだ。

 来る日も来る日もすべての食事で完全な選択をする必要はない。ときには、ほんの少し炎症を残すとわかっている食品を摂りたいこともあるかもしれない。いつそれを口にするかは、あなたが決めればいい。翌日に重大なインタビューやプレゼンがあるときは、夕食の席でより賢い選択をするだけで頭脳のパフォーマンスを上げられるとわかっているだけで、きわめて大きな違いがある。

 化学的な毒にも自然に発生する毒にも汚染されていない抗炎症性の食品を選び始めたら、あなたは頭脳のパフォーマンスと明晰さに、ただちに違いを感じることだろう。これは最強の脳を手に入れるためのきわめて重要な一歩だ。

(本原稿は『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』よりの抜粋です)

*1. Elan D. Louis et al., "Elevated Blood Harmane(1-Methyl-9H-pyrido[3,4-b]indole) Concentrations in Essential Tremor," NeuroToxicology 29, no. 2 (March 2008):294-300, doi:10.1016/j.neuro.2007.12.001.
*2. C. D. Davis et al., "Cardiotoxicity of Heterocyclic Amine Food Mutagens in Cultured Myocytes and in Rats," Toxicology and Applied Pharmacology 124, no. 2 (February 1994): 201-11, doi:10.1006/taap.1994.1024
*3. Satoru Takahashi et al., "Chronic Administration of the Mutagenic Heterocyclic Amine 2-Amino-1-Methyl-6-Phenylimidazo[4,5-b]pyridine Induces Cardiac Damage with Characteristic Mitochondrial Change in Fischer Rats," Toxicologic Pathology 24, no. 3 (May 1, 1996): 273-77.
*4. Seema Bansal et al., "Mitochondrial Targeting of Cytochrome P450 (CYP) 1B1 and Its Role in Polycyclic Aromatic Hydrocarbon-Induced Mitochondrial Dysfunction," Journal of Biological Chemistry 289, no. 14 (April 4, 2014): 9936-51, doi:10.1074/jbc.M113.525659.
*5. Ioana Ferecatu et al., "Polycyclic Aromatic Hydrocarbon Components Contribute to the Mitochondria-Antiapoptotic Effect of Fine Particulate Matter on Human Bronchial Epithelial Cells via the Aryl Hydrocarbon Receptor," Particle and Fibre Toxicology 7, no. 1 (2010): 18, doi:10.1186/1743-8977-7-18.
*6. G. Bounous and P. Gold, "The Biological Activity of Undenatured Dietary Whey Proteins: Role of Glutathione," Clinical and Investigative Medicine. Médicine Clinique et Experimentale 14, no. 4 (August 1991): 296-309.
*7. Naila Rabbani and Paul J. Thornalley, "Dicarbonyls Linked to Damage in the Powerhouse: Glycation of Mitochondrial Proteins and Oxidative Stress," Biochemical Society Transactions 36, Pt 5 (October 2008): 1045-50, doi:10.1042/BST0361045.
*8. Pamela Boon Li Pun and Michael P. Murphy, "Pathological Significance of Mitochondrial Glycation," International Journal of Cell Biology 2012 (2012): 13, doi:10.1155/2012/843505.
*9. Poonamjot Deol et al., "Soybean Oil Is More Obesogenic and Diabetogenic Than Coconut Oil and Fructose in Mouse: Potential Role for the Liver," PLoS ONE 10, no. 7 (July 22, 2015): e0132672, doi:10.1371/journal.pone.0132672.
*10. Bin Wu et al., "Dietary Corn Oil Promotes Colon Cancer by Inhibiting Mitochondria-Dependent Apoptosis in Azoxymethane-Treated Rats," Experimental Biology and Medicine 229, no. 10 (November 2004): 1017-25.