公的年金の運用は、本当に下手で
何兆円ものお金が消えている!
藤野 資産運用といえば、年金運用も実は問題を抱えています。公的年金については、今までは「給付の問題の不公平さ」や「制度の不備について」が議論されてきたじゃないですか。
ちきりん 世代間の格差とか、未加入者問題ですよね。
藤野 そうです。でも、私は年金運用も受託しているので運用者の立場で思うのですが、本当に問題なのはその年金運用がメチャクチャだということですよね。AIJみたいな運用会社は論外ですが、もっと下手くそなのは公的年金の運用の方です。何兆円の損失がでてるんですから、消えた金額はAIJよりも全然大きい。運用の下手さという面でいうと筋金入りの下手さなんですよね。
ちきりん そもそも、「株は危ない」とか、「海外に投資するのは危ないからやめましょう」というような考えの人たちが年金運用をしていますもんね。それってグローバル市場の成長を日本の年金には全く取り入れないと、ポリシーとして決めているようなものだから最悪ですよね。
藤野 そう。そして、結局、その資金が大量に国債ばかりに流れて国債バブル的な状況になっているんです。
年金運用者が、安定を求めて国債を買うというのは、若い世代が安定を求めて大企業や公務員を目指すという状況と根っこがつながっている気がしますね。女子学生も専業主婦志望が増えていますし。
ちきりん そして、奥さんになったら夫の稼ぎを補うためにFXをしている、と(笑)
藤野 あはは(笑)。ただ、私個人としては、FXやデイトレードなどの投機的な売買が決して悪いとは思っていません。活発な取引が増えるのはいいことですから。でも、もう少し長期的にで企業を応援して、その投資の結果として、世の中に魅力的なモノやサービスが増えたり、また、その企業の株価が上がる、配当をもらえる、ということを経験してほしいんです。そして、株式投資を資産運用の主役の一つに据えてもらえれば、と思っています。
ただ、それにはどの企業を選ぶか、というのが非常に重要で、それは本でも、この連載でも何度も言っているとおり、「成長しているか」ということに尽きます。
ちきりん 藤野さんの主張は「日経平均を捨てよう」と、一見するとインデックス投資全体を否定しているように聞こえますが、例えば、中小型株や新興国の株価指数、先進国でも米国のNYダウに連動する投信のような、「成長している」と思えるものは買ってもいいということですよね?
藤野 はい、もちろんです。インデックス投資が全てダメなのではなくて、要は、自分のアタマでこれからの世の中の動きについて考えて、それで成長性の高いインデックスに投資するというのならば、それはある意味「アクティブ投資」なわけです。
ちきりん なるほど。誰かの意見をうのみにしたり、機械的にお任せで投資を行うのではなく、今後どんな世の中になってほしいのか、その中でどんな企業に頑張ってほしいのかなど、自分のアタマで考えながら投資していくことが大事なんですね。
藤野 そうです。それが、自分の資産を守ってふやすためにも、また今後の社会のためにも必要だということですね。
ちきりん 今回は、いろんなお話が聞けてとても勉強になりました。ありがとうございました。楽しかったです!
藤野 いやー、僕も本当に楽しかったです。こちらこそ、ありがとうございました。
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