ハラスメントを考えるとき、上記の4つのうちの「盲点の窓」がキーになると私は考えています。自分が持っている自分のイメージと、他人が自分に抱いているイメージにギャップがあると、それがそのままハラスメントのリスクになる可能性があります。

 自分が他人からどのように見られているのか。これをしっかりと言語化しておくことが、思わぬところでハラスメントの加害者にならないためにも大事です。

「肩書」を持ったときが最も危険!
自分を常に客観視する習慣を持とう

 特に、職場で先輩になったり役職者になったり、なにかしらの決裁権限を持ったりしたタイミングは要注意です。「自分の価値が高まった」という自惚れや油断は、大きなリスクになるからです。

 人間は、組織から与えられた肩書などでそう簡単に本当の価値が上がるものではありません。組織の中で重要性は上がるかもしれませんが、それはあくまでも「役割」の話であって、「個人としての価値」が上がったわけではありません。しかし、役職や肩書に自分のプライドを合わせて態度を変えてしまう人はたくさんいます。

 その役職や肩書に対して与えられた責任の範囲内での振る舞いであれば、相手も受け入れやすいでしょう。しかし、仕事の範疇をはみ出した要求をしたり、何かの行動を強要したりするのは、許されるものではありません。常に自分の行動を客観視して、「この行動は自分の役割の範囲内か否か」を意識することを習慣づけなくてはなりません。

 特に、ピープルマネジメントやメンタリングなどの場面では要注意です。

「自分は上司だ、だから教えてやるんだ」
「自分はメンターだ、だから自分の言うことは正しい」

 上記のような意識が強すぎると、相手の「入ってきてほしくない領域」に土足で踏み込む行為に至ってしまいかねません。

 だからといって、リスクを恐れるあまり、全くアウトプットしなくなるのは、グローバル仕事人としての自己否定になるので意味がありません。そこで、必要になるのが、常に相手と適切な距離感を保つために「自分を客観視する」習慣を持つことです。また、外部に相談相手を作っておくことも大事です。直属の上司や先輩だけではなく、「外の物差し」を持っている人のアドバイスは、時に耳は痛いかもしれませんが、重要な示唆を与えてくれる場合が大いにあります。そのようなアドバイザーやメンターを作っておくのも、グローバル仕事人の心構えとして大事なことでしょう。

 ハラスメントの被害者にも加害者にもならないように、常に自分を客観視する意識と準備をしておきましょう。

(日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 澤円)