イランは核兵器を持っていない!?
食い違う米国とIAEAの言い分

 10年、中東、北アフリカで「アラブの春」と呼ばれる「民主化運動」が流行った。運動はリビアにも波及し、内戦が勃発する。この時、カダフィと和解したはずの米国は、なんと「反カダフィ派」を支援した

 11年3月、NATO軍はカダフィ陣営を攻撃。そして、同年10月、カダフィは反体制派に捕まり、殺された。この時、血まみれで息絶えたカダフィの映像が全世界に流され、衝撃を受けた人も多かっただろう。彼が生きたのは、「核開発放棄」からわずか8年間。死の間際、カダフィは「米国を信じた俺がバカだった」と後悔したに違いない。

 金正恩が、カダフィのような末路を恐れているのは想像に難くない。北朝鮮の非核化を難しくしているのは、歴史的な朝鮮半島情勢のこじれもあるが、米国がリビアその他でついてきた「嘘」も大きな原因である。

 もう一つ、時事がらみの話をしよう。トランプは5月8日、「イラン核合意からの離脱」を宣言した。

 米国が「イランは核兵器を開発している」と非難しはじめたのは、02年からだ。この件は、日本では「核兵器開発をしているイランが圧倒的に悪い」というのが「常識」だろう。しかし、イラン政府は北朝鮮と違い、一度も「核兵器を開発する意思」を示していない(「核開発」とイランが言う時、それは「原子力発電」のことを指す)。

 そして、イランについては「そもそも核兵器開発していない」という情報があることを、ご存じだろうか?「陰謀論者の戯言か!?」と身構える必要はない。「陰謀論者」とはまったく違う、もっと「権威ある」ところからの情報だ。

 世界の原子力、核エネルギーを管理、監視、監督する国際機関といえば、IAEA(国際原子力機関)。そこのトップである日本人・天野之弥氏は、09年12月の事務局長就任直前に何と言っていたか?

<イランが核開発目指している証拠ない=IAEA次期事務局長
[ウィーン 3日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥次期事務局長は3日、イランが核兵器開発能力の取得を目指していることを示す確固たる証拠はみられないとの見解を示した。ロイターに対して述べた。
 天野氏は、イランが核兵器開発能力を持とうとしていると確信しているかとの問いに対し「IAEAの公的文書にはいかなる証拠もみられない」と答えた>(ロイター2009年7月4日 )

 どうだろうか?09年半ば時点で、IAEAの次期トップが「イランは核兵器開発を目指していない」と断言していた。まさかIAEAを「陰謀論者の巣窟」と呼ぶ人はいないだろう。この時点で、米国が「核兵器開発」でイランを非難し始めてから7年が経っていたことに注目していただきたい。