Photo by Kiyoshi Takimoto

 2008年の6兆7000億円から約1兆円も減少した11年の国内広告費。不況のため企業が広告宣伝予算を削ったほか、以前と比べ広告の効果が見えにくい時代となったことが背景にある。

 ウェブの発達によって情報流通量自体は10年前の500倍にまで増えた。しかし、一人がテレビや新聞などを視聴できる時間には限りがある。つまり、消費者の目に留まる工夫をしなければ、せっかく広告を打っても見向きもされない時代になったというわけだ。

 そうした中、注目を集めているのが「戦略PR」だ。

 これは、いわゆる広告ではなく、テレビ番組や新聞・雑誌、ウェブに「記事」として取り上げてもらうPR活動のこと。長らく、企業活動を広める広報部のサポートやアウトソーシングが業務の主流だったPR業界において、広告代理店が手がけていたモノを売る広告に取って代わる新たな事業として定着しつつある。

 広告を打つための必要コストは、数十万円から、テレビCMともなれば百億円単位にまで上る。ところが戦略PRを駆使して番組や記事の中で紹介されれば、費用はかからない。また番組や記事なので、CMのように飛ばされることもなく、視聴者や読者に確実に見てもらえるというメリットがある。

 もちろん、簡単に番組や記事で取り上げられるわけではない。だから、番組制作者や記者たちに「取材したい」と思わせるための情報発信が欠かせない。そのための戦略を練るのがPR会社のベクトルだ。

 戦略PRのコンサルティングフィーは数百万円から、高くても数千万円程度。効果の高さとコストの安さが人気となり、不況下にあっても急成長している。