「がん」の発症リスクも喫煙でアップ
難治がんの「膵臓がん」対策は禁煙こそ近道に

 非喫煙者に比べて喫煙者は、全ての「がん」の発症率が大きいという報告をしばしば目にします。たばこを吸っている人がなりやすいがんとして、科学的に明らかなものだと、厚労省が発表したものは以下のがんです。

 鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がん

 他にも、大腸がん、乳がんも、たばこにより発症リスクが相当に大きくなることがわかっています。

 がんは早期発見により根治が可能なものが増えてきました。しかし、早期発見が難しく、一旦発症すると進行が速いがんは「難治がん」と呼ばれ、現代医療においてもコントロールすることが困難です。その難治がんの代表的なものが「膵臓がん」です。

 早期発見できたとしても5年生存率は40%程度、多くは進行がんで発見されるため、平均5年生存率は20%以下という非常に悩ましい疾患です。予防こそが膵臓がんの発症をコントロールする極めて大切な方法と言えます。極めて厄介ながんの代表格である膵臓がんを予防するための方法として、「禁煙すること」は大いに意味があるでしょう。

現代医療をもってしても
たばこによる病気は治せない

 以上、たばこによって引き起こされる代表的な病気を見てきました。取り上げた疾患以外にも、たばこは、骨粗鬆症、糖尿病、甲状腺疾患、うつ病など様々な疾患の原因になります。脳を覚醒させるためにたばこを吸っていたら認知症が進んだ、精神的不安を取り除くための喫煙がうつ病を発症し、さらなる喫煙によりうつ症状が悪化するという悪循環に陥ってしまった、などのことを改めて考えると、喫煙はやはり「百害あって一利なし」とうことになるでしょう。

 愛煙家が注目しているという、電子たばこや加熱式たばこは、従来のたばこに比べて健康被害が小さいと期待の声が上がっていますが、それも喫煙ありきの立場からのもので、科学的な論拠は乏しいものです。また、その発生する微粒子が健康被害を生むリスクも危ぶまれています。

 たばこが医学的に体に悪いと知っていながら、ヘビースモーカーだった医師たちがきっぱりと禁煙した理由を改めて思い起こしましょう。たばこを吸うことは、自身にとっても毒ですが、被害を受けるいわれのない周囲の非喫煙者や家族、自分の大切な方々に毒を盛るようなものです。昨今は分煙化が図られているとは言え、周囲に全く害がないとは言えません。ぜひ、周囲の家族の健康のためにも、禁煙に取り組んでいただきたいと思います。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)