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デジタル大変革時代 部品メーカーの生きる道

日本の部品メーカーが
生き残るために真っ先にやるべきこと

PwCコンサルティング
【第1回】 2018年6月8日
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 これらの項目のうち最も重要な項目が背景・目的だ。成功するかどうか確実でなく、すぐに成果が獲得できるわけではない計画づくりにヒトやカネといった経営資源を投入する以上、社内でコンセンサスが得られる相応の背景・目的が必要だ。最高責任者がこの活動を取り組むべきと考えている場合であっても例外ではない。なぜなら、最高責任者が活動を進めたい場合、企画を通すことは難しくないが、背景・目的が曖昧だと、メンバーは運の悪い仕事を押しつけられたと感じ、モチベーションが上がらないなどの問題が起きるからだ。背景・目的の内容としては、以下のようなことが挙げられる。

●冒頭に例に挙げた自動車のEV化など事業環境が変化する中、未来において存在価値のある自社や自事業の位置づけを見極めるため(できなければ企業や事業の存続が難しくなる)
●事業成果を獲得できる新規事業を創み出すため
●イノベーションに取り組んでいることを関係者に伝え、ブランド価値やモチベーションなどを高めるため
●変化するための能力を維持・強化するため

検討体制と責任の明確化

 次に重要なのが体制だ。成果が獲得できるかどうか不確実な活動のため、責任と権限を明確にする必要がある。そうしなければ成果が出るまでの長い道のりにおいてGo/Stop判断を的確に行うことができない。参考意見として様々な人の意見を聞くことは悪くないが、確実な答えがあるわけではない。誰が責任をもって判断するのかを決めなければならない。そのことが不明確で、ただただ多くの人の意見を反映させるだけで、誰にとっても思い入れのない企画になっていることが少なくないため、注意が必要だ。体制の例を図表2に示す。

 未来創造活動は定常的な活動ではないため、プロジェクト体制を構築することが多いが、関係者はむやみに増やさず、責任を取る人と前向きに推進する人から構成する。体制としては、ごく普通だが、「意思決定できる人」「参考意見の提言しかできない人」の運用を厳格に行う。数多の成功物語をみると周囲から陰口を叩かれながらも信念を持って進めたことが結実した例が多い。そのような構図になるようマネジメントする道具として体制の定義を十二分に活用する。なお、メンバーについては企画時に全員決まっておらず、事前準備活動を通して選定する場合もある。

 その他の項目も簡単に説明しておく。目標や目標達成方針は企画時点では具体的なことが記載できないため、領域や方向性を図、キーワード、簡素な文章などで示す。目標は企業のミッション、ビジョン、ドメインなどとの結びつきが、目標達成方針は、企業の戦略やプラットフォームとの結びつきが重要になる。予算は主にメンバーの人件費、調査費、コンサルタント費などから作成する。スケジュールとしては半年間くらいで活動を行うことが多いため、最初から週単位の計画を立案するのがよいだろう。

 以上、本稿では、部品メーカーの現状、未来を創造する活動の全体像、未来創造マスタープランの企画立案活動を紹介した。部品メーカーにおける未来創造活動の立ち上げに資することを期待する。

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日本のモノづくりを支えてきた部品メーカーが、デジタル大変革時代に岐路に立たされている。これまでの製品メーカーからの発注を待つ受け身の姿勢を変え、自ら未来を想像する発想の転換と実行態勢の構築が求められるが、具体的な方法論が見いだせない。この状況を打破するためのヒントを提供する。

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