今後注目する部位はありますか?
編集部 今後注目する部位はありますか?
小関 個人的な推し部位はカイノミです。牛の腹筋ですね。カルビにあたる中バラの部位でヒレ寄り。貝のような形をしているので、そう呼ばれています。
従い、カルビでありながら、ヒレの良さも持ち合わせているという良いとこどりの部位なのです。
編集部 高級店でなくても、小関さんの焼き方をマスターすれば、焼肉は美味しくなりますか?
小関 なるはずです。高級店で提供される鮮度の高い肉のようにレア気味で食べても美味しいという部位もあります。ただ焼肉なので、焼いてこそ得られる、旨味と、香味と、ジューシーさがあります。この要素こそが、焼いた肉の美味しさの根源でもあると思います。
ホルモンは、火の位置を理解し、コロコロと転がしながら、焼き上げていくので、楽しくもあり、美味しくもある部位です。
ただ肉の状態は厚さも含め、それぞれの焼肉店さんで一律ではありません。状態を見つつ、焼いていって頂きたいです。
編集部 本に出てくる41店は、どうやって選ばれたんですか!?
小関 前提としては訪問したことのある好きなお店ですね。その中で高級店からコスパ重視のお店まで、選ばせて頂きました。中にはCROSSOM MORITA(クロッサム モリタ)やTHE WAGYUMAFIA PROGRESSIVE KAISEKIなど、予約困難店もありますが、頑張ってトライし、是非、訪店して頂きたいです。
編集部 せっかくなので1、2店ご紹介ください。たとえば、美味しいタン、大好きなのですがおすすめのお店ありますか?
小関 いっぱいあるので、難しいですが、たとえばタンのオススメなら、浅草の[肉のすずき]さん、鮫洲の[乙ちゃん]ですね。
肉のすずきさんの[特選和牛タン]は、まず2cmの厚さに驚きます。希少性の高いタンの中でも更に希少価値の高い、黒毛和牛のトップタンを贅沢にも使用していて、火入れがしっかりできると、歯切れも良く、美味しいタンが味わえます。
乙ちゃんの[数量限定!国産生タン厚切り]は、わずかしか取れない国産のタン元を厚切りにカットして提供されます。丁寧な鹿の子切りが美しく、本のカバーにも使わせて頂きましたが、その姿はまるで[ガメラ]のよう。僕はこっそり[ガメラタン]と呼んでいます。焼くとアワビのような食感にも思えるタンで、仕入れがある日は、必食です。
編集部 読者に最後にメッセージをお願いします。
小関 焼肉は美味しくもあり、自分で焼く楽しみがあるグルメです。でも、同じ値段を出してもお客さんの力量次第で、美味しくもなり、不味くもなる、味に格差社会の縮図が焼肉の不思議なところであり、面白いところでもあります。
私自身も力量不足で過去に肉を黒焦げにし、苦汁を舐めた経験があります。
折角だったら、力量を上げ、肉汁したたる焼肉を楽しみません?さぁ右手にトング、左手に『焼肉の達人』を持って、肉汁を封じ込め、旨味と香味を最大限引き出し、焼肉を楽しみましょう。
1970年、大阪府生まれ。サラリーマン作家
趣味、焼肉。都内140店舗の焼肉店を訪問するなど独自研究、分析がこうじて、東洋経済オンラインで焼肉記事を連載。たちまち人気連載となった。
焼肉は、メインの肉を焼き仕上げることを客に委ねられるケースが多い、減点法のグルメ。きっちり焼き上げないとせっかくの美味しい肉がもったいないことになってしまうのだが、今まで上手く焼くための指南書が存在しなかった。美味しい焼き方の技術を読者にシェアしたいというのが、本書を書く動機となった。
筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程後期中退。早稲田大学大学院(ビジネススクール)国際経営学専攻修了[経営学修士]。現在、都内企業に勤務しながら作家として活動。著書に、『「即判断」する人はなぜ成功するのか?』(サンマーク出版)、『世界一わかりやすいゲーム理論の教科書』(KADOKAWA)などがある。