賞味期限切れは絶対食べない家庭と、
少しくらいなら問題視しない家庭の違い

 この時に肝心なのは、「他人は言うことを聞かない」という事を、予め受け入れておくことです。いくら、あなたが外国人の言い分に納得し、毎回、丁寧な説明をしても、すぐに外国人が日本人と同じように振る舞えない確率の方が高いでしょう。

 なぜなら、相手の数十年にわたる習慣を、あなたが5秒ぐらいで言える一言で断ち切る事なんて不可能だからです。ですから、頭ごなしに怒るのではなく、何回も、しつこく口酸っぱく言うしか選択肢はありません。そうすれば、周りの日本人から「外国人だけに会社は甘く接している」というような声が出て来る心配も消え、社会的な筋は通せます。

 さて、今まで、日本人と外国人の、文化の違いによるトラブルを例に書いてきました。なぜなら、「文化の違い」がトラブルを呼ぶという事を理解すれば、大半のトラブルに対する対処能力が高くなるからです。

 実は、日本人同士、それどころか、友人、家族、恋人同士のトラブルであっても、多くは「文化の違い」の揉め事なのです。例えば、「賞味期限切れの食品は食べない」という家庭で育った夫と、「腐っていなければ、もったいないから食べたらいい」という家庭で育った妻が揉めていたとします。この揉め事は明らかに、2人の食べ物に対する文化の違いが原因です。

 それぞれが、「自分が正しい」と主張しても、その先にあるのは、片方が不満を持ちながら相手に従うだけになります。そういう状態は、時限爆弾のようなもので、放置しておくと、爆発してしまう可能性が非常に高いです。

 ですから、何か揉め事が起きそうな時は、まず、相手の言い分に納得してあげましょう。そして、お互いの妥協点を探ってみてください。