『課長 島耕作』の罪
朝倉:取締役が、論功行賞的なご褒美の道具になっているんじゃないかと感じることが多々ありますよね。執行役員までならいいと思うんですよ。執行役員って、法的な制度でもないし、言うなればただの呼称なわけですから、名誉職的なご褒美として、どんどんあげればいいと思うんです。
だけど、取締役というのは法的に設けられた役割なんだから、それをご褒美にするのがおかしい。この点で、島耕作は罪深いと思うんですよ。
小林:それは面白い指摘やね(笑)。
朝倉:島耕作って、『課長 島耕作』でシリーズが始まって、頑張って部長になり、取締役、常務、専務、社長、会長でしょ。
小林:日本的出世コースをリニアーに上がってる感じだよね。
朝倉:昭和の時代におけるサラリーマンの群像劇としては多くの人々が憧れたキャリアなんだけど、ここで展開されるストーリーを、企業内におけるキャリアのロールモデルだと思ってしまうと、とんだ勘違いなんじゃないかと思います。時代錯誤も甚だしい。
面白がって読んでいるうちはいいんやけども、島耕作は今となっては会長になっているわけでしょ?このまま相談役とか顧問になっていくのかな?経産省の『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)』上だと、役割や処遇の開示が求められてしまいますね。