債務超過については、「開発にてこずった責任を取って、三菱重工が三菱航空機に貸し付けた債務を棒引きにする(債務の株式化を行う)などして解消するしかない」(三菱重工関係者)。

 しかし、それだけでは資本増強策は不十分である。初号機納入が見えたMRJ事業だが、リージョナルジェットの主戦場である北米市場向けの主力モデルについては、これから開発を本格化するところなのだ。

 そのため、「債務超過の解消とは別に、開発資金等の元手として1500億~2000億円の増資が必要だろう」(航空機業界関係者)とみられている。

「MRJ事業からの撤退はもはやあり得ない。とはいえ、事業リスクを三菱重工が丸抱えすることはできない」。こうした現実解が三菱重工上層部の間で主流となりつつあり、同社の水面下では、他社による資金注入が模索されているところだ。

民間機事業があれば
ベースロード収益を獲得できる

 “プラスアルファ資金”の出し手としては、まずは日本政策投資銀行や三菱商事など、三菱航空機の大株主が候補になりそうだ。だが、三菱航空機の出資企業からは、「三菱航空機に出資した資金は、いまや紙切れ。同じ会社に追加で金を出せと言われても社内の稟議が通らない」(出資企業首脳)と手厳しい声も聞こえてくる。

 そこでひねり出された選択肢の一つこそ三菱重工内の航空機事業の統合策だといえる。航空機事業の統合会社という新たな“器”を用意できる上、「民間機事業は10年スパンで見れば必ず利益に貢献する」(前出の三菱重工幹部)からだ。

 現状で、増資の引受先の大本命としてMRJ関係者がこぞって名前を挙げるのは政投銀だ。もともと、「MRJは、航空機を自動車に次ぐ日本の一大産業へ育成しようという経済産業省の思惑もあって開発をスタートした」(三菱航空機OB)。こうした経緯から、政府系金融機関が手を貸さないわけにはいかないだろう、という読みである。