国で決められた相続税は、「3000万円」+「法定相続人の数×600万円」という基礎控除額を超えた部分にかかります。A家は一人っ子のAさんしか法定相続人がいなかったために、基礎控除は3600万円です。

 家と土地を合わせた評価額が2500万円にも届かなかったために、相続税を納める必要はありませんでした。

相続が終わっても
悩ませることとは…

 地方とはいえ、ある程度まとまった土地と1000万円を相続できたわけですから、いい話のように思えるかもしれません。しかし、そう甘くはありませんでした。Aさんを悩ませたことが3つもあったのです。

 まず、葬式代や菩提寺へのお布施、交通費などもろもろ含め、Aさんはすでに200万円を超えるお金を支出していたのです。

 さらに、家が問題でした。相続しても、東京で仕事をしているAさん一家が、そこで暮らすことなどできません。売ることも考えたものの、古い家であったため、かなり安くしないかぎり買い手がつきそうにありません。かといって、空き家にしておくのは物騒だし、固定資産税はかかるし、まさに負の遺産になりつつあります。

 最後はお墓です。Aさんの実家は菩提寺の檀家で、その墓地に「先祖代々の墓」があります。父親も母親もそこに入っていますが、東京で暮らすAさんは、なかなか墓参りに来られる状況にはありません。そこで、菩提寺のお墓に眠る先祖の遺骨ともども引き上げ、近くの永代供養墓に移そうと考えています。なぜならいずれ自分たち夫婦もそこに入れば、子どもたちに墓守をさせずに済むからです。

 いろいろ調べてみると、都内で先祖共々永代供養墓に入ろうとすると、納骨堂型のシンプルなタイプでも150万円くらいは必要です。それでも、新しく墓地を購入し墓石を建てるよりはずっと安く済みます。