近接する領域の事業に手を出す

いかがであろう。ざっと見ただけでも、アマゾンが果たして何の会社なのかわからなくなってしまったのではないだろうか。

確かに、オンラインでの通販が売上の半分以上を占めるが、全体の売上がケタ違いなので、隠れてみえるだけだ。

いくつかの、地球規模の独立した事業が融合して構成されているのがアマゾンの実体なのだ。どのジャンルをとっても独立した企業として成立する。

アマゾンの基本姿勢は、単純だ。本業をする上で生まれた技術やサービスで横展開できそうなものがあったら、それを育てる。あるいは、近接する領域の事業があったら、それに乗り出す。

ただアマゾンが特異なのは、そのために多額の投資をし、それぞれを、その業界でトップに立つほどの大事業にしている点だ。

アマゾンは、世界的な位置づけとしてはアップルやグーグル、フェイスブックなどと同じ「テクノロジー会社」である。これは、読者も異論はないだろう。

だが、アップルがスマートフォン、グーグルが検索エンジン、広告など、ひとつのジャンルの会社として認識され、実際、収益のほとんどもそれに依存しているのとは対照的だ。

アップルは拡張現実(AR)技術、フェイスブックはヴァーチャルリアリティ(VR)技術、グーグルは自動運転技術など次世代事業の種をまいてはいるが、現時点では大きな収益を上げていない。ここからアマゾンの異質さが浮かび上がってくるだろう。