――内陸地震の増加は、予見される南海トラフ巨大地震とどのような関連性があるのでしょうか?

日本周辺のプレート
出典:気象庁ホームページ 拡大画像表示

 西南日本の陸側のプレートの下には、海側から「フィリピン海プレート」が斜めに沈み込んでいます。その境界面が「南海トラフ」と呼ばれるものです。しかし、フィリピン海プレートはユーラシアプレートの下へスムーズに沈み込んでいるわけではありません。プレートの境界がつるつるでないため、両方のプレートの固着が著しく、フィリピン海プレートの沈み込みとともに、陸側のプレートも境界部では一緒に動いてしまうのです。

 国土地理院によって地殻変動の観測点が多数設置され、近年では海上保安庁などにより海底の地殻変動も観測されるようになりました。こうした観測によって、西南日本の太平洋側の地域が、西北西方向に移動していることが分かっています。これは、フィリピン海プレートの動きと同じで、2つのプレートの境界面が強く固着していることを示しています。プレート境界には大きなずれの力がかかりますので、いつまでも固着状態には耐えられなくなり、大きくずれ動き「南海トラフ地震」が発生します。

 そして、そのプレートの沈み込みによる力は内陸の断層にも影響を及ぼしています。断層はいったん形成されると、弱面として長い地質時代を通じて継続します。日本列島はアジア大陸から分離する時に大きな地殻変動を受けて、多数の断層が形成されています。プレート境界から陸側のプレートに力がかかると、こうした数多くの弱面である断層には力が集中するようになります。こうした力が断層の動きやすさの限界を超えると、断層面に沿って岩盤がずれ動き地震が発生します。

――過去に南海トラフ地震が発生した前後には、どのような内陸地震が発生したのでしょうか?

 これまで南海トラフを震源とした巨大地震は90年~150年間隔で起きており、その前の数十年間と発生後の数年は内陸での被害地震も明らかに増えています。つまり、内陸地震が増える時期を経て、南海トラフのようなプレート境界巨大地震が起き、そしてその直後にも内陸地震が起きるという一連の流れがあります。大局的に見て、現在、西南日本は内陸の被害地震が発生しやすい状態にあると見ていいでしょう。