売れるか、売れないかは「商品の差」ではない

ご紹介した5つの事例は、どれも、「普通とはちょっと違うこと」だったと思います。でも、やろうと思えば、誰でもできることばかりです。

ビールの底に松の葉を敷くことも、靴に毛布をかけることも、手提げ袋に緩衝材を巻いたり付せんを貼ることも、別に難しいことではありません。お礼状に写真を添えることも、体重計にカバーをかけることにしても、そうです。

そんな、ある意味すごく簡単なことが、私の心を動かして、「あそこは、ほかと違う」「またあのお店に行こう」という気持ちにさせたのです。

モノが売れない時代になった、と言われています。でも、いつも行列ができているお店があります。成長し続けている会社は、たくさんあります。値段やサービスの内容が極端に違うケースはともかく、ほとんどのお店や商品には、それほど大きな違いはありません。なのに、売れる人と売れない人、繁盛しているお店とそうでないお店がある。

これって、不思議だと思いせんか?

「自分が買う」と「誰かに紹介する」の間にあるもの

それが顕著なのが、私たち営業の仕事です。同じ会社の営業ならば基本的に、同じ商品を、同じ環境、同じ価格で売っています。それでも、成績に大きな差が生まれるのです。

いったい、なぜなのでしょうか。私がその理由に気づいたのは、前職のリクルートという会社から、現在のプルデンシャル生命に転職して、しばらくしてからでした。同じ営業の仕事だと思っていたものに、いくつかの「違い」があったのです。

一番大きな違いは、仕事の「ゴール」でした。リクルート時代のゴールは、「ご契約」をいただくことだったように思います。しかし、プルデンシャル生命の仕事のゴールは「ご紹介」をいただくことです。ご加入いただいたお客さまに、保険の話ができる方をご紹介いただいて、またその人にご紹介していただき、お客さまの輪を広げていく。そんな仕事です。

現在、私はご紹介だけで、約2600人のお客さまを担当させていただくに至っています。

伝説の外資系トップ営業が思わず写真におさめた「感動するサービス」5選川田修:著 価格(本体):1500円+税  発行年月:2018年7月
判型/造本:46並製、256ページ  ISBN:978-4-478-06843-4
『だから、また行きたくなる。伝説の外資系トップ営業が教える「選ばれるサービス」の本質』

「契約」であれば、「損得」でたどり着けることもあります。「こっちのほうが安いから」「今、買わないと損だから」などといった理由で。でも「紹介」となると、そうはいきません。「損得」で商品は買ってはくれても、人を紹介するとなると、「ほかの要素」が必要となってきます。

では、何が必要なのでしょうか。
それは「お客さまの心を動かすこと」です。
小さくてもいいから、お客さまに「感動」を提供することです。
なぜなら、人は、心を動かされたときに、それを別の誰かに伝えたくなるものだからです。