米・牛肉は9月末まで経過措置に
注意すべき「移行期間」の存在

 矛盾のない規制値が普及するのはいいことである。ただし、この新規制値には移行期間が設けられており、4月1日からすべてがここまで一気に厳しくなっているわけではない。これは覚えていたほうがいい。

 製造・加工食品は、今年3月31日までに製造されたものについては賞味期限まで流通することを認めている。また、米・牛肉は9月30日まで経過措置で、10月1日から新基準値となる。そのうえ、9月30日までに製造される米・牛肉製品はそのあとも賞味期限まで流通することになる。大豆は12月31日まで、つまり今年いっぱいまでが経過措置、それまでに製造される製品は来年の賞味期限まで流通する。

 すなわち、米・牛肉・大豆とそれらの加工食品は来年に入るころまで新規制値と暫定規制値が混在することになる。収穫期などの関係、そして製造期間によって経過期間が設けられている。

 ところが、自治体や流通企業によっては経過期間を認めず、独自に測定している。福島市は学校給食の食材検査で、測定限界の20ベクレルを超えれば廃棄する。大手スーパーも測定限界以上が検出された場合、新基準値以下であっても販売しない。山形県や群馬県は牛肉の経過措置を取らず、新基準を4月1日から取り入れている。

 これらの報道が飛び交い、経過措置がややわかりにくくなっている。消費者は新基準値、経過措置、自治体や企業独自の施策を並べ、自分のアタマで考える必要がある。

新規制値を上回っても健康に害はない?
二分される専門家の見解をどう見るか

 注意しておきたいのは、新基準を超えてシイタケやタケノコから放射性セシウムが検出されると、専門家があいかわらず「たとえ新基準値を超えていても、人体に影響を与えるレベルではない」とコメントしているところだ。

 放射線医学の専門家は、「新規制値を上回っても健康に害はない」とする見解と、「基準値以下なら安全ということではない。たとえもっと少なくても危険」という意見に分かれる。マスコミに流れるのは前者が多く、これがまた疑心暗鬼を呼ぶ。

 放射性物質の場合、この値以上だから危険だという境い目(閾値)はない。放射線を被曝する量が増えれば、遺伝子が傷ついてDNAのコピーにミスが起きる確率が上がる、したがってガンになる確率も上がるという意味だ。つまり、国際的な専門家グループがいろいろな仮説を組み立て、「このくらいなら確率は十分に低いからだいじょうぶだろう」とざっくり決めた値が年間1mSvである。

 公衆の被曝は「意図せざる被曝」であり、意図した被曝である医療被曝とはまったく別にカウントされる。したがって、「レントゲンなら2、3枚分」などという比較は無意味である。