プラットフォームにある
設計の思想とフィロソフィ

LINEとTwitterで700万人!女子高生AI「りんな」はなぜ、こんなに雑談が得意なのか?坪井一菜
マイクロソフトディベロップメント株式会社 AI&リサーチ プログラムマネージャー。
りんな開発チームの一員として、対外的なコラボレーション、りんなのスキルおよび音声合成の開発に携わる。慶應義塾大学理工学研究科卒業。

大村 『マルチナ、永遠のAI。』では、五條堀や田淵という、2人のAI開発者が出てきますが、2人とも、アプリケーションではなく、プラットフォーム(OS)のほうをつくろうとしているわけですが、そこには、ツールというよりも、設計の思想やフィロソフィ(哲学)があります。

坪井 りんなの場合は、タスクで役立つよりも感情に重きを置いていて効率よく何かを達成できることはすごく大事なことですが、一方で、人には感情というものがある。何かを使い続けたいときは、愛着という人の感情が生まれている。

大村 確かに。タスクよりも感情

坪井 タスク型のロボットと人間との会話で、
「明日、天気はなあに?」
「明日、天気、晴れです」
「サンキュー」
「いつでもきいてよ!」
 と言ってくれると嬉しいですが、
「ちょっと、よくわかりませんでした」
 と言われてしまうと、多少傷つくじゃないですか。
 でも、人間は会話の中で、タスク的な内容と相手との距離感を縮める雑談が行ったり来たりする。
 タスクは、ある程度、ルールが決まっているので開発しやすい。
 一方、人の感情だったり、大して意味のない雑談になると難しい。
 でもそこに、人らしい愛着が湧き、感情的な人工知能の開発も大事だよねということで、りんなの開発が始まったんです。