りんなの設計で
最も重視したのは「雑談」

LINEとTwitterで700万人!女子高生AI「りんな」はなぜ、こんなに雑談が得意なのか?大村あつし
IT書籍から小説まで幅広く手がける作家・ライター
エクセルのマクロ言語の解説書の売上部数は150万部を超えている。1997年に、その後国内最大規模となるマイクロソフト・オフィス製品のポータルサイト「moug」を一人で立ち上げる。2003年にはIT系資格試験の「VBAエキスパート」を中心メンバーとして創設。2007年に処女小説『エブリ リトル シング』が17万部のベストセラーとなり、中華圏や韓国での翻訳出版や2回の舞台化(2008年井上和香、2009年内山理名主演)。著書に、『マルチナ、永遠のAI。』、ベストセラーとなった『かんたんプログラミングExcel VBA』シリーズ(全16冊)など多数。静岡県富士市在住。

坪井 普通「会話型のAI」をつくろうとすると、相手がしゃべった後に、こちらがしゃべって、というような順番的な思考になりがちですが、人って、話す間に、何かタスクがあったとしても、ちょっとした雑談や相槌を挟みますよね。
 そこをうまく切り分けるのは、設計上すごく難しいのですが、そういう自然な会話の流れができるようにしないと面白くない。
 だから、りんなの設計で最も重視したのは「雑談」なのです!

大村 雑談!それじゃ、マルチナと近いですね。

坪井 そこは、近いと思いますよ。

大村 私も、ずっとプログラマーとして開発をしてきたのでよくわかるのですが、マルチナは確かにタスクもこなしますが、パソコンでマウスやキーボードの入力情報を受け取るのはWindowsであるように、会話型AIのマルチナは「会話」で入力情報を得ます。そうした意味では、会話型AIは必然的にプラットフォームになります。もっとも、マルチナと会話をしている人間には、マルチナはプラットフォームの上で動いているアプリケーションソフトに見えますが。そこを私も、この本には書ききれなかったのですけど。

坪井 ある意味、開発者の夢に近い部分だと思うのです。
プログラミングをすることは、人間と機械がコミュニュケーションをとっているのと似ています。みなさんの想像の中で生きるコンピュータも、人らしくインタラクション(相互作用)する面が多いのかなと。

大村 おっしゃるとおりです。エクセルで「VBA(プログラム言語)」をつくろうとする場合、ユーザー側は業務改善を目指しますが、その開発者となると、VBAという言語をどうつくるかに夢を感じるんです。多くの方に、VBAというプログラム言語を使っていただきたいので。
 AIの場合も、「受付ができます」というような機能面よりも、その元となっている会話技術であったり、判断能力であったり、そこの部分のを、開発者は目指すんだと思います。

坪井 より広くみなさんに受け入れられるような、大きなものをつくりたいというところはあると思いますね。