鉄壁の守備が自慢の東ガスは、いかに電力市場の競争が激化しようとも、何よりも優先するのがガスの顧客基盤だ。“ガスファースト”の方針が揺らぐことはない。

 16年に先行してスタートした電力小売り自由化では、ガスの顧客基盤を死守するために「電力とガスのセット販売」を強化した。これは、ガス自由化でライバルの東京電力ホールディングスに顧客基盤を崩されないための“防御作戦”だ。

 こうした戦略が奏功し、北関東エリアのガス導管の新設による新規顧客の開拓もあって、顧客数はわずかながら増えている(図(2))。

 しかしながら、今後もガスの顧客争奪戦が激化することは必至で、顧客離れは避けられない。

 ガスの守備一辺倒では、このまま沈没する──。そんな強烈な危機感から東ガスが救いを求めたのが、海外事業だった。

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 海外で中長期的に注力する舞台として東ガスが選んだのは、経済成長著しいアジア市場だ。

 図(4)のように、ターゲットにするのは、得意とする液化天然ガス(LNG)の受け入れ基地に関するエンジニアリング事業である。

 LNG基地の設計に関するコンサルティング業務を突破口に、段階を踏んで基地の維持・管理業務(O&M)も受注し、あわよくば基地に納入するLNGの調達も狙おうとしている。

 実は、東ガスは1969年に世界で初めてLNGを導入したパイオニアとして、業界では有名な存在である。

 内田高史社長は「LNGの生産から調達や受け入れ、さらにガス供給といった上流から下流まで手掛けるプレーヤーは、弊社も含めて世界では希少な存在だ」と自信をのぞかせる。