ここまで行政が踏み込むのには、それなりの訳がある。下図の中ほどを見てほしい。

Illustration by Shin Kikkawa 拡大する

 空き家の実態を総務省が調査したもので、13年の段階で空き家は全国で820万戸を数えた。さらに5年ごとに調査されることから、18年には軽く1000万戸を超えるとされる。

 それだけではない。野村総合研究所の試算によれば、それ以降も加速度的に空き家は増え続け、33年には、空き家の数は2167万戸となり、住宅総数約7126万戸に対する空き家率は、実に30.4%にもなるという。すなわち、3軒に1軒が空き家となる事態が十数年後に訪れるというわけだ。となれば、国や自治体も手をこまねいているわけにはいかず、空き家特措法をもって、私権に踏み込むしかなかった、というわけだ。

 これまで国は景気浮揚策の一環として、マイホームの取得を促進してきたが、これだけ空き家が増えれば不動産市場は急速に冷え込み、市場の崩壊につながりかねない。

 また、空き家は犯罪の格好の隠れみのとなり得るため、治安の悪化が避けられない。事実、空き家の相談員を装って空き家を物色しては窃盗を働いたり、犯罪者や不法滞在している外国人のすみかとなっている事例もすでにある。急増する空き家は、個人の問題のみならず、社会的問題も孕んでいるのだ。