EUの目標達成には年間70万基の充電設備を
30年まで作り続ける必要

 ACEAは「現在EU域内に10万ヵ所の充電設備がある。2025年には200万ヵ所の充電設備が必要になるだろう」と指摘している。あと7年間で190万ヵ所を新設するとなると、年間27万1430ヵ所、毎日744ヵ所作らないと間に合わない。充電設備を新設するのにふさわしい場所を探し、充電器の設置、配電工事、充電設備の存在を知らせる看板などもろもろの手続きが、毎日700ヵ所以上で行えるとは思えない。

 そのうえ、EUが想定している“30年にCO2の削減率50%”を達成するためには、年間70万基の充電設備を30年まで作り続ける必要があるという。こちらも現実的でない数字だ。

 充電設備が偏在している現状は、EU域内にある10万台の充電器の28%がオランダ、22%はドイツ、14%がフランス、12%が英国にあるというデータから明らかだ。全体の76%が上位4ヵ国に集中している。

 ここで頭の体操を。現在、日本国内のガソリンスタンド数は減少を続けている。経済産業省が発表した平成28年度末の給油所数は3万1467カ所。一方、一般社団法人次世代自動車振興センターが発表した“都道府県別充電設備補助金交付台数”は2016年度末で3万6519台。数字のマジックというべきか、給油と充電にかかる時間の違いというべきか、これらの数字をどう評価するか──。

 ACEAは、「76%の充電器が集中している4ヵ国の面積は、EU域内の27%でしかない」と指摘。特定の場所に集中しているので、電気自動車ユーザー全員が不自由なく充電することは難しいだろうという。

 EU内には自動車産業を持つ国と、持たない国がある。電気を他国に販売している国がある一方、自国のエネルギー供給能力が不足している国もある。こうした国々の思惑とエネルギー政策、経済政策を考慮したうえで、電気自動車論議を進めていく必要がある。単純な計算式では、EUのEV問題は解決できない。

(まとめ/CAR and DRIVER編集部)