(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
(3)若年性認知症施策の強化
(4)認知症の人の介護者への支援
(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
(7)認知症の人やその家族の視点の重視

 では、認知症は特別なことなのでしょうか。例えば、首相時代にフォークランド紛争や自由主義改革を主導したイギリスのサッチャーは晩年、認知症だったと言われています。サッチャーの生涯を取り上げた2011年製作の映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』では、年老いたサッチャーが昔と今の出来事を混同し、周囲を戸惑わせる場面があります。

 しかし、「個人の自助努力」を盛んに強調し、これを実践したサッチャーでさえ、老齢に伴って認知症になったのです。このことを考えれば、認知症は決して特別なことではありません。高齢化社会、平均寿命の延伸に直面する先進国共通の課題であると確言できます。

「恍惚の人」ジャケット
「恍惚の人」 好評発売中 発売・販売元:東宝 

 そして、認知症を初めて真正面から取り上げた日本の映画としては、1973年製作の『恍惚の人』が挙げられます。

 映画は冒頭、立花茂造(森繁久彌)が雨の中を歩いている場面から始まります。これを事務所勤めの昭子(高峰秀子)が帰宅中に見掛け、一緒に連れて帰ります。昭子は夫の信利(田村高廣)、息子の敏(市川泉)と一緒に住んでおり、茂造夫妻は離れに住んでいました。

 しかし、昭子が離れに行くと、茂造の妻が亡くなっていることに気づきます。茂造は妻の死を誰にも知らさず、雨中をさまよっていたのです。しかも、仕事で遅くなった信利が帰宅すると、茂造は鍋の芋を素手で食べており、妻が亡くなったことも分からない様子。

 この辺りから信利、昭子は「茂造の様子がおかしい」と気づき始めます。やがて茂造は信利のことさえ分からなくなり、食事を取ったばかりなのに食べ物を昭子に要求したかと思えば、夜中に何度も昭子を呼んだり、寝床に駆け付けた信利を「暴漢」呼ばわりしたりして、信利、昭子を苦労させます。