アイデア11 学校や職場で早めのお休みを

 そうはいっても、学校や職場が早めに休みにならなければ、避難準備・高齢者等避難開始の段階で避難できるわけがありません。

 避難したいけど、学校があった、会社が休みじゃなかったという声もお聞きしています。

 中には、「大雨警報はでていたけど、特別警報じゃないからという理由で登校になった。だから親が無理して車で学校に送って行った。なのに、その後、休校が決まったため、こどもたちが大雨の中歩いて帰らされた」というお話も聞きました。

 地震では、親や指定した人が引き取るまで、学校待機が基本です。豪雨に対しては混乱が見られるように思いました。災害対策が進んでいる学校では、保護者が危険と判断して登校しない場合は欠席扱いにしないという措置をあらかじめとっている所もあります。

 この問題については、今後単独で記事を書こうと思っているので、しばらくお待ちください・・。

アイデア12 最後は引っ越し?!

 ここまでいろいろ書きました。それでも、早期避難はしたくない…そう思う方は、これしか選択肢がなくなります。お引越し。

 ただ、すべての災害に安全な場所はないのです。引っ越しすることで最も危険な災害を避ける・・そんな感じでしょうか。慣れ親しんだ地域を離れるのは寂しいですよね。

大雨情報で「早期避難」を確実に実行するためのアイデア12選(下)(画像提供:あんどうりす)

 こちらは和歌山県田辺市内之浦の干潟公園の写真です。干潟近くに山祇神社があり、1854年の安政津波の碑と1946年昭和南海地震の津波潮位標が、建てられています。

 この付近にあった集落は、干潟公園整備を機に1990年の段階で高台移転しました。すべての集落が移転されたわけではないですが、1990年代に、使える公共事業を利用して高台移転が実行されていたというのは慧眼だなと思います。

 今後、過疎や空き家問題もあります。これから起こる災害を見越して、災害が避けられない、高齢化によってコミュニティによる避難も困難という地域は、事前復興として、みなで移転するという事を真剣に考えなければいけない時期なのかもしれません。(事前復興についての記事についてもまた詳しく書きたいです)

 以上、アイデア12選、いかがでしたでしょうか?

 これだけですべてが解決する訳ではありません。でも、少なくとも、これだけ真剣に考えぬいてご家族や職場で話あっているでしょうか?

 豪雨災害は、これからも、地震より多い頻度で起こります。問題を先延ばしせず、どうやって次の災害時に早期に避難するか、今、決めていただくきっかけになればと思います。

あんどう りす/阪神大震災被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年より全国で講演活動を展開。当時誰も提唱していなかったが、現在では当たり前になっている毎日のカバンを防災仕様にというアイデアを提案。特に子育てグッズと防災グッズをイコールにしてしまうアウトドア流の実践的な内容が好評。楽しくて実践したくなる、毎日の生活を充実させるヒントがたくさんあると親たちの口コミで全国に広まり、毎年の講演回数は100回以上。著書に『りすの四季だより』(新建新聞社)がある。