今年の甲子園は例年に比べても多くの観客を動員している。今大会からバックネット裏のおよそ5000席が「中央特別自由席」から「中央特別指定席」に変更になった影響や、有料席の増加、値上げを心配する声もあったが、蓋を開けてみれば観客減は杞憂に終わった。今回の値上げなどは主に混雑緩和と安全確保、警備費用を目的としているが、絶大な人気を誇る“夏の甲子園”を、どう原資を確保し発展させていくかについてはさまざまな議論がある。横浜DeNAベイスターズ初代球団社長で、現在はスポーツ庁参与も務める池田純氏に、高校野球の「経済的側面」について意見を聞いた。(構成/大塚一樹)

甲子園の産業化の是非は二元論で語るべきではない

横浜DeNAベイスターズ初代球団社長の池田純氏
横浜DeNAベイスターズ初代球団社長の池田純氏

「そもそもお金が必要であれば、どこかから捻出しなければなりません。自分たちで収益をあげる中から捻出する、自分のことは自分でやるのが当たり前。ビジネス化する、しないという二択の発想で考えることではありません」

 横浜DeNAベイスターズでは5年で球団を黒字化、数々の施策でファンの心を掴み、ベイスターズを球界随一の人気球団に変えた池田氏は、甲子園の指定席化、有料席の値上げの際にセットで語られる「甲子園の商業化の是非」について、「本来の目的や理念が大切であり、その理念に向けた資金を確保するためには必要なこと」とした上で、「世の中とのコミュニケーションやオープンに情報開示をする体制を確立し、開かれたスポーツ界の先駆けとして、世論の共感形成が可能であれば、そもそも問題視されるべきことですらない」と、「商業化=悪」のような二元論は本質的ではないと語る。

「一般的な企業でビジネスの話をしていれば当たり前のことが、スポーツになると突然まったく別の論理を持ち出してきて、精神論や美学、美談にとらわれたバランスの悪い話になり、本質から外れた議論になってしまうことがままあります。お金の話、金儲けのニュアンスが出るとなおさらで、それが学生、アマチュアの世界となるとその傾向は顕著になります。

 時代や社会環境、競争環境が変われば、それに対応するためのお金はどうしても必要になります。お金がないとできないとわかっていながら、お金の話になると稼ぐことに自信がないのか、責任を追いたくないのか、うまくいかなかったときの別の理由を先につけておくなど、お金の話からは距離を置きがちになります。