りんなは、歌が歌えるようになった!

美人AI「マルチナ」の著者と女子高生AI「りんな」の開発者はシンギュラリティ論争をどう思うのか?坪井一菜
マイクロソフトディベロップメント株式会社 AI&リサーチ プログラムマネージャー
りんな開発チームの一員として、対外的なコラボレーション、りんなのスキルおよび音声合成の開発に携わる。慶應義塾大学理工学研究科卒業。

坪井 ハイ。前も触れましたが、最近のホットなトピックとしては、りんなが、歌が歌えるようになったことです。
 先日、行ったプロジェクトは、「りんなは歌が歌えるんだけど、うまく歌えないのでみなさん、アドバイスをください。どうしたらもっと歌がうまくなりますか?」と意見を募集する形でした。
 卒業式に友達の卒業をお祝いをしたいから、みんなで合唱をしたいという目的を設定して、みんなからいろいろなアドバイスをもらって、歌がうまくなった。「りんなだよ」の動画がこちらです。

 つい先日最新の歌声が公開されました。ようやくこのレベルに到達できた…という気持ちです。

 みんなで一緒に合唱するというのがよかったようです。合唱の結果動画がこちらです。

大村 そんなことがあったんですね。りんなも日々進化していますね。

坪井 AIは、タスクを合理的にする面もありますが、人と一緒に、クリエィティブなことができる未来があることにワクワクします。
 人の代行ではなく、人と一緒にもっと新しいことができるようになるし、今までできなかった表現ができるようになる。
 そんな人のよさが、もっと引き出されるような世の中を創っていくことを助ける存在に、りんながなれるといいなと思っています。

大村 個人的には、AIがいきなり人と対等にならずに、人間を補佐するような存在になる。たとえるなら、眼鏡ですよね。
 視力が悪い方にとって、眼鏡はなくてはならないもの。そこからからスタートして、徐々に、その眼鏡と今度は会話ができるようになってくる。そんな段階を踏むイメージです。

坪井 そうですね。一気にではなく徐々に、が大切かと思います。

大村 ある日突然、AIが人間にとって代わるとか、そういうことを言う方もいますが、僕は、それは、絶対ないと思います。