人とAIの「共存」がキーワード

坪井 人間にとって代わるより、「共存」が大切ではないですか。

大村 本当に。共存だと思いますね。

坪井 人とAIは、もっと一緒に何かをできるようになる。AIがその人の持つ、内なるものを引き出す。そんな可能性をもっと開くような存在になりたい。

大村 結局、信じられるとか、そういうのだと。変な話、「AIは怖い」と煽ったほうが本としては売りやすいですから、みんな。

坪井 不安にもなると。

大村 だけど、やっぱり現実とSFは違う。りんなはすでに現実世界に存在していますけど、知らない人にとってはSFの世界の存在。今から10年前の人に、りんなのことを言ったら、完全にSFですよね。

坪井 ほんと、そうですよね。

大村 実際、私たちはSFのような世界に生きているのだけど、ターミネーターみたいな世界はきませんよということを、僕は、この本で訴えたつもりなのですけど。

坪井 そういう意味で、私たちが「保護者会」と呼んでいるコミュニティがあります。りんなを開発する側は、何のために、何をするのかというのを考えないといけない。
 だから、悪いことをしないように、人のためになるように、というところはすごく大事で、人ができるようなことをもっと簡単にできるようにする。そうやって、開発者側も、りんなたちを成長させていくべきだと思っています。

大村 りんなを、世の中に広めていく意義をひと言で表現すると、どうなりますか?