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そして、今、気になる旬の人たちとの対談を連載、今回のお相手は書家である伊藤潤一さん。誰にも書を習ったこともなく、路上に座って、墨で文字を書くことから始めて、現在、世界を舞台に活躍中の伊藤さんに書を通してのコミュニケーションを語っていただきました。

伊勢志摩サミット、ミラノ万博、NY、台湾……
昔の自分からは想像できなかった

Yumi:伊藤さんの最近のご活躍はすごいですね。2015年開催のイタリア・ミラノ国際博覧会へ参加、2016年には主要国首脳会議、いわゆる、伊勢志摩サミットの配偶者プログラムにてディナー会場の演出も手掛ける。

 さらに2017年には、F1日本GP公式タイトルロゴデザイン担当、そして、2018年に入ってからは日本の初代天皇・神武天皇と皇后を祭っている、橿原神宮への書の奉納、この8月にはNYのコンテストに合格して展示が決まり、さらにパリで開催されるジャポニスム2018公認になった「世界平和の祈り」へも参加するとか!

伊藤:いや、本当に昔の自分からは想像がつかないですね。そもそも、最初に書を書き始めたのは、路上からですから。

Yumi:路上って、道端に座って書いてたんですか!伊藤さんは、もともと三重県のご出身ですよね。

伊藤潤一さん対談【1】三重県の小さな駅前の路上から国際的に活躍する書家へ

伊藤:はい、将来は学校の先生になろうと思っていたんですが、大学2年のときに、ある書家の方の作品をみて、衝撃を受けまして。

 字にも迫力があったし、それを観ている人たちがみんな感動していて、感想を言い合ったりして。それで、僕もこういう作品を作りたい!と思ったんです。

Yumi:それで、いきなり路上デビュー?

伊藤:はい(笑)。もう、何かに突き動かされたというか。その作品をみてすぐに百円ショップで筆と墨(墨汁)、画用紙を買って、近くの駅前に座ったんですよ。「書」を売ります、好きな字を書きます、と。

Yumi:それが、三重県の伊勢中川駅ですね。

伊藤:そうです。勢いで、書を書きます!と座り込んだまではいいんですが、当然ながら、お客さんはまったく来ないし、誰も自分のことを見てくれない。とりあえず、売るための作品を書いていたんですが、1日中、ずっとだまったままでした。

Yumi:都会ならまた違ったんでしょうけどね。

伊藤:はい。それで、1日の終わりにめげそうになったときに、一組のカップルが僕の作品を買ってくれて、「がんばってください、応援しています」って言ってくれたんですよ。

Yumi:初日に、そんなことが!

伊藤:はい、本当に嬉しかったです。単なるきまぐれかもしれませんが、今、こうやって自分が活動できているのも、あの出来事があったからこそです。

僕はずっと、「本気でやりたいこと」を探していて、偶然、書に出会った。そして、初めて書を通してコミュニケーションが取れた、人生のスイッチが入った瞬間でしたね。

伊藤潤一さん対談【1】三重県の小さな駅前の路上から国際的に活躍する書家へ伊藤潤一
1986年生まれ、三重県出身。2007年3月、一人の書家との出逢いをきっかけに、筆と墨を使った表現活動を始める。ストリート時代を経て、現在では創作活動をはじめ、他ジャンルとのコラボレーション、ライブパフォーマンス、トークライブ、個展などカタチに捉われないスタイルで活動を展開。2013年からは活動の舞台を海外にも広げ、フランス、イタリア、スイス、NY、台湾などでも実績があり、中でも台湾では世界三大博物館のひとつ「國立故宮博物院」より、日本人で初めて国際正会員として認定される。2015年開催のイタリア・ミラノ国際博覧会へも参加、2016年には伊勢志摩サミットでの演出も手掛ける。2017年、F1日本GP公式タイトルロゴデザイン担当。和の精神、日本文化の探求を軸に、寺社仏閣への奉納を通し、世界に日本文化と思想を発信している。著書に『路上から世界へ』(リーブル出版)