ワタクシ自身も、アパート経営を始めた2004年から数年間は、高利回りの恩恵を受けたが、次第に新築が増え、利回りのよい物件が少なくなった。

 北海道では札幌市以外の過疎化が進み、退去が続いた。頑張ってリフォームしても、入居者自体がいない状態だ。

 家賃の下落、空室率の増加、新築が増え、ライバルも増えた。

 所有物件が増すにつれ、家賃も下がり、入居者の質も低下した。苦労して入居者が決まった物件でも、滞納や夜逃げ、不良入居者が年々、増加した。

 初期の頃から所有していた貸家は順調で、手間がかからず、運営は楽であったが、急激に家賃収入を増やすことは難しかった。近所に、条件にあてはまる中古住宅が少なかったからだ。

 ほかにもっと楽な不動産投資はないものかと、常に考えていた。

なぜ、更地投資を始めたのか?

 中古物件に代わる不動産投資先を模索していたが、なかなかピンと来るものがなかった。

 2007年、不動産投資で人生を再生した方法について書籍を執筆。『ボロ物件でも高利回り 激安アパート経営』(ダイヤモンド社刊)は、市場で反響を呼び、印税が少し入った。

 しかし、本が売れたことによって投資家も増え、それまで豊富だった高利回り物件が、家の近所から消えた。

 印税は入ったが、自分で買う高利回り物件がなくなったのだ。

 税理士には、ナウい高級中古車を買って減価償却せよと、激しくススメられたが、アメリカ時代に黄金のメルセデスに乗っていたので、もうクルマに対する欲求もなくなってしまった。

 いい収益物件は減ったが、なぜか近所の更地が異常に安かった。

 バブル崩壊直後に、少し安くなった自宅横の土地を、いまは亡き厳格な父が退職金で購入したが、購入価格は坪10万円だった。それが、2007年から2014年頃には、近所の更地が坪2万~4万円で売られていた。

 最寄りの駅の周辺は坪10万円であったが、8kmくらい離れた周辺の土地は、異常に評価が低かった。

 明らかに安いのであるが、近所の老人たちは誰も購入しなかった。

 自分が住んでいる家さえあればいいのだ。